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カスタマーレビュー

2013年7月23日
 国家は幻想である、宗教も幻想である…という言葉で有名な本です。
 でも、読んでみるとそうハッキリと国家のことが書いてあるワケではありません。
 それよりも、物語がどうやってできるかとか、どうやって伝えられるかということが詳しく解説されています。<巫女>や<他界>のことが書いてあって、つまりアイドルとかあの世とかについて説明されていて、読むほど面白くなる本だといえます。簡単にいえば物語のでっち上げ方が書いてあり、そのフィクションのカタマリとして社会や国家や宗教が示唆されていきます。そして日本はもっとも複雑で高度なフィクションのカタマリとして歴史に登場したということが解き明かされていきます。アジアのなかでも特別に複雑な幻想のカタマリとして成立したニッポン…そのリソースやその証拠として分析されるのが「古事記」や「日本書紀」そして「遠野物語」などのエピソードです。

 現代でいえば国家というものはレーニンが分析した「国家と革命」やネグリ=ハートの「帝国」などで理解できるし、機能的にはそれが当たっています。ここで吉本隆明さんが考察しているのはもっと根源的なもの。どうして国家があると思ってしまうのか?というような根源的な問題です。それらがより細かく微分されて、どうして巫女は共同体の予期をする(占う)のか?とか、なぜ幽霊はいると実感できるのか?というような具体例を通して分析されていきます。

 日本のオリジナルな特徴として天つ罪・国つ罪のように一つの行為が一方で罪になり他方では罪にならないような事例を上げて、異なる価値観が並立し組み合わさっていた事実から、異なる民族や文化が高度で複雑な共同体を形成しキメラな構造の社会を成り立たせていった可能性が指摘されています。それがマルクス経済学でいうアジア的共同体にも匹敵する、日本(だけ?)の観念のなかの壮大な構造物であるという指摘は、物語とその構成こそが共同幻想であり、そのある形がのひとつが国家や宗教なのだ…ということを示しているといえるでしょう。国家創世の神とその神話を、それを描いた知識人のレベルまでを解析しながら解体批評していく本書の展開はスリリングで画期的なもの。著者である吉本隆明さんが知の巨人とか最大の思想家といわれる証拠がここにあるといえる内容の一冊です。

 発刊当時は政治的な革命の書として読まれたようですが、現在では都市伝説から神話や宗教まで、ありとあらゆる物語を解体する手がかりとなるガイドとして読めるものだと思います。読むほど万能のガイドのように読める本書は繰り返し読むことが一つのポイントかもれません。さまざまな物語論とともに「共同幻想論」を読むと、この本がいかに原理的な根源的なテーマを持っているかがわかります。そのすべてのはじまりに対幻想=性があるというのも人間が生きていくあらゆる場面で本書が役に立つ?可能性を示しているともいえます。
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