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カスタマーレビュー

2011年9月28日
【1】全体的な内容について

1994年〜1997年にかけて発表された,25本のルポを集めた本。全体的に,新聞記事か,それ以下の床屋政談のレベルである。第23章(たかが部活のために)は,せいぜいが家族新聞,あるいは異常に長い新聞の投書。第12章(キューバ紀行)では現地で出会った十代の女の子とのハードボイルドな「対話」が掲載されている。正直キモい。

ひどいのは論旨の展開が横着なところだ。言っていることもよく分からない。第1章では「パラダイム転換」をどのような意味で使っているのかが不明だし(p.27),長野五輪組織委員会が「円高により財政計画の立直しが先決」と述べたのに対する,「もしそうだとすれば,およそ日米両国以外ではオリンピックなど今後開催できない」(pp.141-142)との反論も,一体何を言わんとしているのか。特に第6章(アナクロな教室)は,私はまったく理解できなかった。明治以来の日本の教育制度を批判したいらしい。分かるのはそれだけである。

ルポというものは内容的に見て,一般に知られていない事実を明らかにする部分と,その事実を基にしてひとつの意見を述べるという部分に分かれる。前者を重視すれば新聞記事に近づくし,後者を重視すれば評論家やコラムニストの文に似てくるわけだが,著者には後者の力が決定的に不足している。前者に軸足を置いたルポ,たとえば第8章「橋本大二郎の技術」などは,それなりに読める。

【2】第19章(DNA捜査の落とし穴)について

第19章については,ちょっと詳しく述べさせてもらう。というのも,このルポは本書の中でも特に高い評価を得ているように思われるからである。また,本章該当部分は現在,著者のウェブサイトで全文が無料で閲覧できるので,本書を買う際の参考にもできる。

第19章は足利事件について書かれている。足利事件とは,1990年に栃木県足利市で女の子が誘拐・殺害された事件において,DNA型鑑定で被疑者(菅家利和)が逮捕・起訴され有罪判決が確定したものの,その後鑑定の証拠能力が否定されるなどして無実が判明したという冤罪事件である(2010年3月26日再審無罪判決)。著者によれば,冤罪の「全証拠は,15年ほど前に私が本書に(当初は月刊誌に)克明に解き明かしたとおり」であり,「自分で言うのも何ですが完璧な仕上がりとなっています」(p.6)。

しかし,わずか18ページの記事で冤罪が証明されているとは言い難い。要するに説得力に乏しい。本章を読んで納得してしまった人は,「菅家さんが無実だった」という,事後に判明した事実を暗黙の前提として読み込んでしまっているのである。たとえば,菅家さんは取調べのときに警部から暴行・暴言を受けたと書かれているが(p.374,p.380),この情報源は菅家さん本人であって真実かどうかは分からないし,真実だとしてもそのことが当然に菅家さんの無実を導くものでもない。つまり「菅家さんは実は無実だったんだよ」「えっ。でも捜査段階で自白してたはずだよ」「その自白は強要されたものだったんだよ」という文脈において意味を持つのであり,「菅家さんは無実なんだよ」「えっ。なんで?」「自白が強要されたからだよ」では論理が飛躍している。自白の強要=無実ではないのである。自白を問題にするならば,「秘密の暴露(捜査機関の知らない,真犯人だけが知っている事実)」の不存在を取り上げるべきなのである。なお,冤罪(無実)と無罪は意味が異なる点にも注意。DNA型鑑定の証明力に関する記述(pp.370-373)も不十分だ。

しかし,そうだとしても結局菅家さんは無実だったのだから,その先見の明は評価されても良いではないか? 本書が,いつ,どこに発表されたかは『情報への作法』にハッキリと書かれていないが,『秘密とウソと報道』には,月刊誌『RONZA』1996年8月号に書いたとの記述がある(p.122)。再審無罪判決より13年以上前だ。

しかし,実は,これよりも前に公表されたルポが,少なくとも3つある。

 A:「ルポ足利事件 DNA鑑定の怪」(三浦英明,『法学セミナー』1994年3月号)
 B:「一審有罪『足利幼女殺人事件』の謎を追え DNAは真犯人を明かしたか」(小林篤,『現代』1994年12月号)
 C:「揺らぐDNA鑑定」(NHK,ETV特集1996年2月2日放送)

かつて冤罪(と思われる)事件は,真犯人と誤認された人の氏名を冠して呼ばれることが多かった。免田事件などがこれに当たる。が,やがて人名ではなく,事件現場の地名で名付けようという空気になっていった。志布志事件や飯塚事件,そして足利事件がそうだ。国立国会図書館のウェブサイトの雑誌記事索引検索で,「足利事件」をキーワードにして調べると,最も古いものとして上記記事Aがヒットする。つまり,遅くとも本章が公表される2年以上も前から,この事件は冤罪ではないかと言われていたわけだ。

今私の手許には,記事Aと本書がある(BとCは手に入らなかった)。おそらく,著者は本章を書くに当たって,記事Aを参照しただろう。なんといっても本書のあちこちで「情報の技術」を説いて,自身の調査能力を自慢しているのだから。それに,内容も結構重複しているのである。本章では,DNA型鑑定の不手際と資料の捏造疑惑(pp.371-372),証明力に対する疑義(p.373),自白の強要(p.374),事件を契機とする予算獲得作戦(p.374)などが書かれているが,これらは記事Aにおいて,すでに詳細に示されている(それぞれp.22-24,p.23,p.20-21,p.24)。もちろん,同一事件を同一視点で書いている以上,内容が似るのは仕方がない。しかし先行業績がある以上,本章をもって著者に先見の明があるとは言い難いし,ましてや足利事件の冤罪を完璧に証明したものとは言えない。

記事Aは,大幅に加筆修正されて『DNA鑑定―科学の名による冤罪』の第4章に再録されている。記事Bは,他の記事と合わせて,なぜか『現代』の発行元である講談社とは別の出版社から出版された(『幼稚園バス運転手は幼女を殺したか』)。理由など知る由もないが,少なくとも,講談社には先見の明は無かったことになる。再審無罪判決が確実という段になって,『足利事件(冤罪を証明した一冊のこの本)』として再度講談社から出る運びとなった。

【3】出版に至る経緯などについて

本書の出版に至る経緯は,本書に関するクチコミ欄にあるとおりだ。1997年に出された『情報の技術』の「再」文庫化である。それが悪いとは言わないが,ならば本書のタイトルを変えるべきではないだろう。より分かりやすく改題するなら分かるが,「情報への作法」というのは,日本語として意味不明だ。しかも,本文では「学校教育におけるリテラシー(情報の技術)」(p.124)とか,「読み書き表現するというリテラシー(情報の技術)」(p.203)など,改題前のタイトルを思いっきり引きずっているのである。ただひたすらに中途半端である。

私が編集者ならば,本書のうち読むに値するものを何本かピックアップして,著者に追加の取材をさせた上で各記事を2〜3倍の分量にして1冊の本に仕上げる。たとえば第2章「被災者報道」は,1995年の神戸の大震災に直面した地元のラジオ局を追いかけた,本書の中では最も優れたドキュメントだ(タイトルも秀逸)。著者は2011年3月の大震災の後,被災地を何度も訪れた旨述べているのだから,16年前の神戸の震災と比較対照した読み応えのあるルポが書ける筈である。なぜそういった工夫をしないで同じ本を何度も出すのか?

せめて,時間の経過とともに不適切となった記述の修正くらいはしておくべきだろう。1点だけ挙げておく。第15章(「島田裕巳問題」を解く)に引用されている日刊スポーツの記事(pp.294-295)の内容については,その後両者の間で裁判上の和解が成立し,日刊スポーツは同記事が事実無根である旨の訂正記事を出している(1999年6月13日付)。本書の中では島田裕巳が「告訴」(p.295)したとだけ書き,記事の真実性についてはありふれた感想しか述べていないが,実際は刑事の告訴ではなく民事の損害賠償請求であり,しかも決着もついているのである(以上につき『オウム-なぜ宗教はテロリズムを生んだのか-』pp.390-393,p.504)。本書のような書きぶりでは記事により名誉を傷つけられた島田さんに関して再度のいらぬ誤解を招くばかりか,過ちを認めた日刊スポーツに対しても敬意を欠く。この程度の事実経過くらい,簡単に調べられるだろうに。優秀なスタッフはいないの〜?

以上のとおり,内容はもちろんのこと,文庫化する意味も全くないという点で,本書は評価に値しない。★1つ。

※2011/10/22追記:内容を微修正しました。また,このレビューのコメント欄で,上記【2】につき,さらに掘り下げた検討がなされているので,御覧ください。
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