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カスタマーレビュー

2015年4月23日
 内容の自分なりのまとめをしてから、気づいたこととすぐれた点を。
 第1章はラウプ『大絶滅』を下敷きにした「勝者ではなく敗者から見た進化」という本書の独特の視座の紹介。第2章は民衆文化の中で語られる「進化」概念の構造の解明(「私たち一般人による進化論理解を理解すること」)で、「適者生存はトートロージーか?」という古くからの問いを敢えて問い直し、また鶴見俊介「言葉のお守り的用法について」に依拠して、巷間に流布する「ダーウィン主義」と学問的なダーウィン主義とが「乖離的共存」の関係にあることを示し、さらにボウラー『ダーウィン革命の神話』をベースに、通俗的なダーウィン主義が実はスペンサー主義であることを明らかにする。第3章はグールドvsドーキンス(+デネット・他主流派進化学者)の論争を、後者が圧倒的な勝利に至った必然性と共に分析する章。グールドvsドーキンス論争についての、これまでのセーゲルストローレ、ステルレルニー、垂水雄二といった人たちの論考を踏まえた、冷静で要領を得た説得力ある分析。終章はさらなるグールド論がメインで、グールドの挫折と第2章で描かれた「一般の我々」の議論が接続される。グールドの「スパンドレル」論文を再読し、グールドが行った主流派への見込みのない攻撃の動機を、ギルバート・ライルの「中傷効果」の概念や、ディルタイからガダマーまでの解釈学の伝統に由来する「説明と理解(了解)」「方法と真理」の概念に依拠して分析し、グールドが主流派の適応主義に見いだしたものは歴史を方法論で塗りつぶすことで忘却する「暗愚学」だったのではないか、と考察した上で、それに対するグールドの対応は、「我々」が共有する問題に立ち向かった点で勇敢であったにしても、しかし「ウルトラ文学主義とウルトラ科学主義の乖離的共存」という見込みのない道であったと結論づけた上で、それでもなお残る(非常に禁欲的な、過度にグールドを誉めないスタンスから与えられる)評価しうるグールドの側面として、歴史科学の方法論上の功績と、エッセイにおいてグールドが展開した「依存しつつの抵抗」というスタンスに求める。後者は、例えばパンダの親指とかランドルフ・カークパトリックのような、むしろ日の当たらないものたちに積極的に日を当てていくグールドの営みは、著者によれば歴史学におけるブローデルの「社会史」みたいな方法を進化論(や科学史?)において行うものであって、これは「忘れられた過去の救済」としての「偶発性」の救済として、ベンヤミンのビジョンに通じるものだとされる。つまりはグールドの理論はアレだったがエッセイは珠玉の名作だったという評価で、これは広い同意を得られる結論かと思う。結論は『親切な進化生物学者』の主人公G・プライスの悲劇を引き、「ほかでもありえたのに(私は、彼は)どうしてこうなった」という、科学的方法に回収されない「感覚」(タイトルにある「理不尽さ」の感覚)の主体である人間が、原理的に「人間」から遠ざかる遠心性をもつ科学的知識とそこから人間に戻ろうとする求心運動の往復運動を行う際に「進化論」というトピックがもつ「中間性」が大いに貢献する、という考察で締めくくられる。
 気になった大きな点は三点。一つ目は冒頭から最後までずっと気になっていたのだが、つまり著者が言う「滅んでいった敗者たち」は「絶滅種」で、これは(いわば)種間競争(「種」の存続/絶滅を競う競争)の「敗者」であり、ダーウィン的淘汰が本来働くはずの個体間競争(個体の生/死、ないし、個体の遺伝子の存続/断絶を競う競争)の「敗者」ではないこと。「種」と「個体」のこのようなディスアナロジーは一応「寿命」の問題で触れられてはいるものの(pp.40-41)、総じて表に出て来ない。しかし思うに種として確立したグループの成員たちは皆本来のダーウィン的淘汰の「勝者」であり、従って「種間競争」というのは査読付き論文から優秀作を決めるトーナメントのようなもので、ダーウィン的な意味で本当に重要な「競争」と淘汰の創造的な過程は終わっているし、そこにいたはずの「敗者」はやっぱり表には出て来ない。両者は原理的に独立した過程で、区別が必要ではあると思う(例えばドーキンスは「群淘汰」は否定するが「種淘汰」は「種」を複製子とする自然淘汰として許容し、但しその実効性は疑問視する。また、表現型の進化について正統派ダーウィニズムを強く支持しつつ、分子レベルでは中立説を主張する、という木村資生の立場が何も矛盾していない、というのともちょっと似ている)。もちろんこの点は、「私たちの進化理解」に焦点を合わせる場合には重要ではない(無視した方がわかりやすい)細部かもしれないのだけど、ひょっとするとここが曖昧になっていることで、第4章のグールドの正統派攻撃の再構成が本来そうある以上にグールドに好意的なものになっている可能性はないか?とは感じた(但しこれはもう少し詳しく検討する必要あり)。
 二点目の疑問、というかこれは著者への提案は「俗流・進化論」と「俗流ダーウィン主義(実はスペンサー主義)」を本書は常に一体のものとして扱っているものの、ここはもう少しきめ細かく区分しうるのではないかということ。自分がちょっと調べた印象では、「淘汰」のメタファーが急増するのはバブル後のいわゆるネオリベ的な言説(能力主義とか自己責任論とか)が流行る時期以降であるし、また、もう少し前の時代、「進化論」といえば「競争」ではなく「調和」を重んずる今西進化論や、あるいは徳田御稔のマルクス主義な(やはり「生存競争」に批判的な)進化論がむしろ流行っていたのではないかと思えて、つまり「進化論」=「ダーウィニズム」というのは明治以来の一貫した認識ではなかったのではないかということ。(似た逆方向の変化が過去にもあったことは、明治前期、加藤弘之の社会ダーウィニズムに基づく「競争の場としての自然」のイメージが流行っていたのが、大正昭和にいたって「美しい調和の場としての日本的自然」のイメージに取って代わったという、ジュリア・アデニー・トーマスの『近代の再構築』を読むと分かる。)
 三点目の疑問は、これは自分がグールドに対して好意的すぎるかもしれないと思う論点ながら、グールドが正統派に提出した、(遺伝子中心主義批判や発生学的制約を中心に置くような)「全体的理論」は、著者が言うほど正体不明でも孤独な誇大妄想的なものでもなく、戸田山和久氏がいくつかの場所で紹介している「エボデボ(進化発生生物学)」研究の中の過激な論者(エボデボによって正統派ダーウィニズムの補完のみを目指す穏健派に対して、パラダイムの置換を主張する人たち)に受け継がれていて、その限り(見込みがあるかどうかはともかく)具体的な研究プログラムの形をとって存在し支持されているのではないかということ。ただこれは自分も詳しく調べてのことではないので、「疑問」としてのみ提起。
 以上も含め細かい部分で疑問点のあることは本書の価値を引き下げるものではなく、ともかくグールドとドーキンスで思想形成を行って哲学科に進んだ自分のような人間にとって、いわゆる文系の視点からの進化論関係の詳しい知識に基づいた本書のような論考は励みになり、特に3章-終章のガダマーやベンヤミンまで持ち出して論じられるグールド論は圧巻だった。グールドの本から多くの知的な恩恵を受けつつ、ドーキンス、デネット、コスミデス&トゥービーらのグールド批判にいちいちうなずいていた自分は、(それが著者の意図かどうかはともかく)本書から一つの心の整理を得られた。すでにベストセラーらしいので今さらながら、博覧強記の道具箱を駆使して読みやすい文章で核心に迫る、広い方面に一読を勧めたい良書だと思う。(なお、末尾につけ加えたいのは、同じく昨年刊行された垂水雄二『科学はなぜ誤解されるのか』(平凡社新書)が本書とかなり重なり合う題材を(また違う視角から)扱っていて、『理不尽な進化』を読んだ人は同書も併せて読むと面白いと思うということ。特に目覚ましいと思ったのが、ドーキンスのメタファー好きは単なる「悪い癖」ではない本質的な機能をもつ、という指摘を同書pp.178-9と『理不尽な進化』pp.216-7が共に与えているところで、これはどちらにしても慧眼ではないかと思う)。
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