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カスタマーレビュー

39 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 日本のポップスファン必携の一冊, 2016/12/13
レビュー対象商品: 「ヒットソング」の作りかた 大滝詠一と日本ポップスの開拓者たち (NHK出版新書) (新書)
日本ポップス界の生き字引の執筆した物語をコンパクトな新書で堪能できる、本書『「ヒットソング」の作りかた』は、著者の牧村憲一さんが言うべきこと、伝えるべきことを推敲して数々のエピソードと共に自らの見聞を語っています。回りくどいこと、不必要な伏線など一切なく、全編が珠玉の牧村節とも言えるテンポの良さで軽快に話題は展開していきます。その背景にあるのは古希など意に介さない彼の音楽への今なお消えない情熱が強く感じられます。一リスナーも音楽シーンを支える屋台骨として大切にする熱い思いと周囲を巻き込んでいく勢いある生涯現役の姿勢は、本書でもひしひしと伝わってきます。
万人に向けて懇切丁寧に語られるも、本書のサブタイトルにある「大滝詠一と日本ポップスの開拓者たち」、これには補足が必要かも知れませんが、若かりし牧村さんが手掛けた仕事を中心にした、そして一年と少し携わっていたCM制作の現場で直面した、大滝さんの仕事ぶりなどから会得した出来事に付随する内容が全編に反映されてあることによるものです。加えて、一般的にはマニアックなポップスの話題に過ぎない、70年代前半の山下達郎さんの自主制作盤と80年代後半のファンジン「英国音楽」のソノシートが資料として同じ書で理想的に扱われる画期的な一冊と言えば、その内容が日本ポップスで内容的に高く評価される音楽話で占められていることがこれから手に取る音楽に精通する読者にもよく判ると思います。
先頃出版された売野雅勇さんの著書『砂の果実』で売野さんがシュガー・ベイブの未発表の8ミリフィルムの話題に並んで達郎さんのロッテヤンシーのCMソングの録音風景を回想していたことが記憶に新しいですが、本書の序章は大滝さんの手掛けたCMソングの名作「サイダー'74」の話題から始まります。第一章ではオリジナルを模索した創成期のフォーク・クルセダーズやはっぴいえんどといった開拓者の活動を自身の下積み時代と絡めて描き、大滝詠一さんの「サイダー'73」使用決定までの関係者の素敵な裏話やレコーディングの模様、CMディレクターの大森昭男さんの配慮など音楽制作の現場の風景の記憶を辿っていきます。次の仮説も非常に面白い夢のあるビジョンですが、牧村さんに倣えば更には山下達郎さんのその後のお茶の間人気となった「クリスマス・イブ」にも当てはまるはずです。

三木鶏郎さんは、ヒット曲は子供から生まれるという考え方を持っていたそうで、たしかにいいCMソングというのはそうした力を内包しているものです。つまり、このとき大滝さんの作るCMソングを直感的に支持していた若い世代、子供たちであったとしたら、彼らが成長し、大滝さん最大のヒット作となった『A LONG VACATION』を支持したのではないかと思うのです。(61頁より)

第二章では、シュガー・ベイブ解散に伴い幻となったセカンドアルバムの制作、達郎さんの手掛けたCM音楽、『サーカスタウン』レコーディング、ロフト・セッションズへの参加でデビューする竹内まりやさんの歌手としての才能について。
第三章の、特に牧村さんが心血を注いだ肝煎りの大貫妙子さんのヒットアルバムを制作するまでの彼の彼女に向ける眼差しは温かく、セールス低迷から脱しアーティスト像を見事に確立して「いい音楽なのに売れない」悩みを打破するまでの経緯は読ませます。この頃に起こった新しいポップスの兆しの見える潮流の中にあって、80年代の音楽シーンに開花するに至るまでの日本のハイクオリティなポップスの歩みを底辺で支え、一般的なファンの預かり知らぬ所で試行錯誤し奮闘努力を継続してきた彼の活動の成果には、そのまま70年代以降の国産ポップスの歴史の欠かせないピースが限りなくあることに気付きます。
サウンドストリートでの加藤和彦さんと坂本龍一さんの会話が大胆にフィーチャーされる第四章、仕掛人として具体的な経緯に触れられている後の話題作「子供達を責めないで」と共に、「い・け・な・い ルージュマジック」の坂本龍一さんと忌野清志郎さんの企画を発案して交渉した話では、80年代前半の詳細な現場での制作過程が知れて、当時のヒット曲の裏側の事情がよく判ります。出だしの「ベイベー」の清志郎さんのアイディアなど明かされています。
また終章に登場するフリッパーズ・ギターとの出会いについて、当時彼らがロリポップ・ソニックと名乗っていた時代のライブ音源を聴いて「上手い下手とは違う次元で、音楽への知識と曲作りに対する繊細な意識」を牧村さんは感受したと言います。思えば、彼らのインディーズ時代には60年代ポップス~80年代ギターポップの印象的な小節を挟んだり粋なアレンジに変更してみせたり音楽ファンならではの器用さと遊び心が満載だったセンスから、世代的にも大きく年の離れた牧村さんにも見過ごせない過去の才能ある音楽家と同じ原石の輝きを嗅ぎとったことを紙面で伝えています。録音時間が実にトータルで325時間掛けて完成されたという、愛すべきフリッパーズのファーストアルバムが大滝さんや加藤さんから反応あったという知られざるエピソードにも触れています。
ところで、「ミュージシャンには自分の芸術に対する強いエゴが必要」と山下達郎さんのシュガー・ベイブ時代のMCでの姿で触れられる態度などその多くを好意的に見ながらも、現代の宅録世代の音楽家への見解もまた首肯ける事柄で、未来の音楽家へのメッセージとして拝読したい内容です。

自分の部屋だけでもの作りが完結するのは、悪いことばかりではありませんが、部屋の中で考えつく限界までいってしまったら、それ以上のものは出てこない、ということになりかねません。音楽制作に「個」が重要なのはもちろんですが、それだけでなく、先達がやっていた無駄だと思われることを含めた、様々な人のアイディアや手法を取り入れていくことも同時に必要なのです。(165頁より)

どうかすると今の若いリスナーと同等かそれ以上の貪欲さであらゆる情報に気を配り常に新鮮なカルチャーを吸収して自らの活動の糧にする、そのような人物像こそが牧村憲一さんのように映ります。全体的に彼の非常に解りやすいポップスの歴史の授業を受けている気分で楽しく読めます。願わくは要所々々に登場する名盤名曲の数々を引っ張り出して聴きながら、少しずつ、また何度も読み返したい、洋楽に魅了された若者が新しい音楽を模索し創造していった日本ポップスの、音楽制作者という彼の足跡を踏まえた観点から綴られた貴重な物語です。
因みに、本書の付録にはその内容に関連して1967年から1993年までの年表で纏められ、牧村さんに関係する出来事には太文字での記載があり、時代的な音楽上の前後関係の確認に便利です。なお、内容に抵触しない校閲上の明らかに単純な変換ミスのうち、75頁に紹介の三愛バーゲンフェスティバルの企画は70年代ですが、この頃の大森さんと達郎さんについてほぼ日刊イトイ新聞のウェブ記事「CM音楽と山下達郎」には参考になる内容が満載です。ご存知の方は多いと思いますが、是非併せてご覧になってください。
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