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カスタマーレビュー

2013年9月2日
本書のハイライトは第9章「ツイッター微分論――機能主義批判と新人論と」です。ハイライトでもあり、最も難解なこの第9章のために、著者は第8章まで読者を騙し続けます。あたかも、若者向けの啓蒙書のように。この本は決して啓蒙書ではありません。(特にわれわれ心理学者にとっては) とても危険な本です。

第9章は「ツイッター微分論」と名付けられていますが、ツイッターについての話ではありません。重要なのは副題の「機能主義批判」。私は心理学を専門としていますが、いわゆる「科学」を名乗る学問は全て機能主義のやり方に従っています。

心理学者はかけがえのない個人ではなく、平均化された、つまり「データ」としてしか存在しない個人 (実は人間以外の動物であろうとロボットであろうと、心理学者にとっては全て等価なのだが) を研究しています。心理学者はこの平均化するやり方が大好きです。例えばある人のパーソナリティ (性格) を測定する際には、いくつかの項目への回答や、これまでの行動履歴などを平均して算出します。あるいは、男性と女性の違いについて論じる際には、男性実験参加者と女性実験参加者の刺激への反応パタンをそれぞれ平均して比べます。つまり、個人差を潰すことが心理学の研究ではとても重要です。これに対してツイッターというメディアは、「あらゆる平均化に抗う」(著者) メディアです。「現在はそれ自体で意味」(著者) であり、平均化されていないぶつ切りの現実をまさに目の前にあらわしてしまう。平均化すれば「頭がよい」はずの大学教授が「うんこなう」なんてツイートしている瞬間を目撃してしまうメディアなのです。

さて、平均化して (いくつかのパタンに分けて) 人間を見ていくやり方は、「モデル」という考え方です。「モデル」という職業がありますが、あれも「どこにも存在しないような美人」という意味ですから、まさに「モデル」なわけです。こうしたモデル型の研究パラダイムは19世紀の後半に心理学が誕生してから、われわれがずっと一貫して採用しているものです。心理学の屋台骨を支える重要なモデルは、刺激―反応 (S-R) です。新行動主義ではその間に媒介変数を採用することになった、なんてことはどうでもいいことです。相変わらず心理学者がやっているのは、刺激と反応の関係についての関数の研究です。こうした研究パラダイムは研究業績を大量に生み出すことに貢献してきました。おかげでわれわれ心理学者は大学に講座を得て、国から研究費をいただき、多くの研究成果 (おそらく、著者に言わせると「ゴミ」) を蓄積していくことができたわけです。

「『タイプ』『モデル』的な結合、つまり述語結合を諸々の接合や離合の軸に置く考え方は、機能主義心理学の人間観です。(中略) 対象 (ウーシア) としての <心> なんてどうでもよい。<人間> もどうでもいい。機能主義科学 (すべての近代科学 science は機能主義 functionalism ですが) は、<方法論> しかないのです」 (p. 369) と痛烈に批判していますが、著者は心理学者以上に心理学のことをよく知っています。多くの心理学者にとって「機能主義」は過去のものであり、「私の心理学は単なる機能主義ではない」と主張する人が多いと想像されます。多くの心理学の教科書では「機能主義」はウィリアム・ジェームズによる構成主義批判として生まれ、過去のものとして扱われていますが、未だに心理学の主流は機能主義です。刺激を条件間で統制して、それへの反応の差異を検討するという最も心理学者の好きな研究手法 (=実験) が、まさに機能主義であるわけです。

「外面性の強度は、内面性の強度と『相関』しているというのが、機能主義=行動主義の論理的な帰結」 (p. 365) とあるように、心理学者にとって重要なのは、外部からの刺激に対してどのような反応が観察されるか、ということに尽きます。要するに、ある刺激をある反応に変換する「関数」がどのようなものかを明らかにするのが心理学 (機能主義) の目的です。その意味で、心理学者にとって人間と同じ振るまいをするものは、それがロボットだとしても人間と等価だし、人間の病気と機械の故障は区別ができない。しかし著者は、「人間の生はいつでも廃品になるし、いつでも新品になる、そのように生死は間断なく再生する。だから、人間の病気は機械の故障ではない」 (p. 182) と喝破します。とても壮快なところですが、心理学者にとっては死刑判決に等しい。死は直せないにもかかわらず、「最大の病は人間が死ぬということ」なのです。このことは、死が「<機能> や <目的> に帰すことはできない」ということを意味しています。つまり、機能主義は完全に破綻しているのです。

著者は、behaviorを「行動」と翻訳するのは誤りであり、「要するに外見=外貌」が中身を決めるという考え方が行動主義であると断言します。心理学者にとっては「外から観察可能な行動のみを研究対象にする」というところでしょうか。確かに、私自身もbahaviorismは「行動主義」よりは「外貌主義」と翻訳した方がよいと同意します。そして、全く確かに心理学者が扱っているのは <心> ではありません。

心理学の学会でこうした機能主義批判に関わる内容が扱われることはほとんどありません。学問の根本を成り立たせている原理についての議論は、学会では通常なされません。「こんなところで言うかよ」という反応をされてしまうのが普通です。じゃあどこで言うんだよ、と思うことも多いわけですが、「われわれの学問を成り立たせている最も重要な前提については疑わずに議論しましょう」というのが学会大会の暗黙のルールです。「『先生、先生』と言われ続けて何十年にもなる。そうすると『先生』は大体がバカになる」 (p. 16) と言うように、論文を書けば書くほど、学会大会に参加すればするほど、学生を教育すればするほど、学者はバカになります。専門的になればなるほど、学者がバカになる要素は増えていきます。自分たちがどのくらいバカなのかを知るためには、自分たちをバカにする人を見つけることが重要です。心理学者にとって、自分たちを掛け値なしにバカにしてくれる著者の存在というのは、たいへん大きいものだと思います。そして、つらい。

#ツイッター微分論について誤っていた箇所があったので訂正しました (2013年10月22日)。
#引用部分が多すぎるということでレビューを削除されたので引用部分を削り再投稿しました (2014年2月4日)
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