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カスタマーレビュー

2013年4月24日
たとえば数学や論理学は最も抽象的で科学的な、だからこそ普遍的な認識?ですが、その根拠は何か…というと結構ナゾです…。本書には数行で数理論の根拠が書かれているパートがあり、理論物理学などでも概念の均質性や空間性が前提ですが、そういった認識の根拠が説明されています。そういうことを力まずに何気なく書くのは著者がバリバリの理系の人間だからじゃないかなと思いました。理系的な知識や論理でモノゴトを一刀両断にする人がいますが、理論や定理は現実からある特定の方法の見方で抽出されたもの。そのため時代が変わり新しい実証や研究によって理論や定理も変わります。進歩というやつです。本書は逆にその変わらない部分にスポットを当てたともいえる内容になっています。変わらない部分からの変成がさまざまな心的現象のレベルになり理性であったり道徳であったり数理計算であったりという説明。病気や異常もその変数の違いとして把握されていきます…。なので、哲学だとか心理学だとか思想だとかいう先入観や前提で読むとたぶん理解し難いのでしょう。本書が“最も難解な本”といわれる理由は、むしろ逆?で、先入観でしか読めない人がいかに多いのかを示しているのかもしれません…と自分的には思っています。クオリアもデジャブも本書的には変数の違いや時空概念の錯合によるもの。現象学のような鋭いアプローチをしながら、自らの視点や論拠をも微分し相対化する方法はこれこそが科学だといえるものですが、ベキ上化する観念を大前提に自らのベキ上化をも考慮しながら考察されていく、ポスモダのキーでもある自己言及や再帰性が本書でも最重要ポイントになっています。

本書はたとえると、縦・横・高さの3次元からはじまりモノゴトの形や量や質を説明するヘーゲルの小論理学が似てるかもしれません。これ以上は微分できないという要素から心理(心的現象)を説明しているからです。究極的に心的現象を時間と空間の概念で再構成していくのが本書の基本的な内容で、精神病も理性も感性も悟性も感動も盛り上がりも鬱もキレるのも…時空間概念の積分の特定の傾向として把握されていく…自分的にはそんな風に読めました。詩人ならではの文体か批評家ならではのアイロニーか、クセがあって読みやすくはない雰囲気がありますが、そこで引っかかっては本書は読めません。イメージや雰囲気、先入観でものをみる人には読みにくいのでしょう。たぶん団塊世代とか学生運動とか左翼がどうしたとか、著者は学者じゃないとか、そんなバイアスがかかっている人には無理かも。きっと新しい?スタンスの人や世代がキチッと読んで、その整合性やトーナリティに驚きながら意外なシンプルさに気がつくような、そんな本なんだろと思いました。
本書がホントに読まれるのはこれからだと思います。
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