上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0毛色の違う展開に違和感とあきらめを感じたのだが・・・。
2024年7月11日に日本でレビュー済み
アニメーションのクオリティを極限まで高め、足掛け9年越しのシリーズ完走に対し、本シリーズの全スタッフに最大の謝辞を送りたい。
”響け!ユーフォニアム””1作目の劇場版を鑑賞した時の衝撃は薄れることは無く、ソフトなタッチのキャラクター描写ながらストイックな展開に息をのみ、吹奏楽の世界の奥深さを体感できた。そこからシリーズを連綿と鑑賞し、様々な人間ドラマの交差が魅力的に描かれ、シリーズの映像化が待遠しくなるほどであった。
テーマとなる吹奏楽の楽曲は、その時々の場面に余韻を与え、丁寧な演出と秘めたる熱量を感じさせる見事な声優たちの演技により、音を見るとでも揶揄できそうな多角的な構成となり作品を見事に昇華している。
シリーズ最終章の本作は、クライマックスの原作との改変に賛否が分かれているようだが、原作未読の個人的な感想は、予定調和を覆しながら、綺麗に作品をまとめ上げたアクロバティックな構成の見事さに☆5評価となった。
シリーズを追いかけてきた鑑賞者としては、最終章の湿っぽく吹奏楽の場面が殆どない展開に、違和感と残念な感情を抱いたのだが、主人公の成長譚の締めくくりとしてやむを得ない事情も感じ取れた。
しかし、ラスト3話の驚天動地の展開は、胸をかきむしられるようなヒリヒリした感情を呼び起こし、結末を知るのを引き延ばしたい気持ちを生じさせた。そして、吹奏楽シーンが殆どない事に対する大仕掛けが伏線とされており、最も見たかった”響け!ユーフォニアム”の世界観をこれ以上にない演出で見せ切る手腕は、製作陣の長きにわたり育んだ作品愛の賜物であろう。
エピローグも人生の円環を感じさせる濃密な締めくくりとなっており、シリーズ集大成と呼べる作品に仕上がっている。本作から登場する人物や小生意気な性格のキャラなど、色とりどりの人物設定だが、僅か13話1クールで、人間の機微を見事にとらえ、捨てキャラが皆無な人物描写は見事であった。
今シリーズに初めて触れる方は、先ずは、1作目の劇場版で、そのインパクトとアニメーションのクオリティの高さ、音楽の音色の豊かさを味わってほしい。普段、アニメーションを見ない方にもお勧めの傑作だ。