もちろん、AIR という作品はこうした「大きな物語」そのものを描きたかったわけではないと思います。そうではなく、小さな物語のバックボーンとして「大きな生命の進化の過程」を冷徹に描くことで、そこにある「ちっぽけな幸せ」のかけがえのない大切さを描くことに成功した作品 、それが AIR だったんじゃないかと私は思うんです。
確かにこの原作の冷徹な視点は、(私も含めた)多くのプレイヤーの心理的反発を買ったわけですが、今改めて作品を振り返ってみると、これがあったからこそ AIR という作品は歴史に残る名作になったんじゃないか、とも思います。CLANNAD も確かに名作ではあるんですが、ある意味ではあの作品は暖かすぎる。AIR という作品は、暖かさと同時に、徹底的に突き放した冷徹な視点が存在していたからこそ、プレイヤーの心に突き刺さる物語になっていたのではないか、そんなふうに思います。