上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0倫理なき誘惑に負ける大人に塗る薬は無い
2019年5月18日に日本でレビュー済み
※2019.4発売の廉価版Blu-rayのレビューです。
30年前の1989年公開のリビングデッド・ホラーで、主人公自らが誘惑に抗しきれずに災いを招く展開が特色の佳作。2019年の今年にリメイクされるのを受けて初Blu-ray化されたのはファンにとっては嬉しい。
映像や音楽などには特筆すべきインパクトは無いが、主人公一家の子供の安全確保面での軽率と、警告を無視して安易に死者の復活を試みる倫理的欠如に呆れた記憶がある。魔物と闘う映画ではなく、魔物を起こすかどうかを心の中で闘う異色作なのだ。
改めて観ると、主人公ルイスの死生観の未熟が一連の不幸の元凶だと判る。死を受け入れられない大人はどんな社会的地位に有っても判断を誤る。本作のテーマはその一点に尽きる。近隣老人のジャドのお節介と後悔も、それこそ墓場に持っていけの類いであり、二人の「我慢出来ない大人」が招いた悲劇は、意外に脳裏に焼き付いていて、社会人としての守秘義務や自己統制に気を付ける為に役立った。ホラーとしては佳作なのだが、それでも観ておいて損はない教訓映画として評価している。
初Blu-rayのデジタル・リマスター画質は驚くほど鮮明で、吹替えも違和感が全くなく商品としては完璧。特典映像の内容は2019年リメイクの宣伝を兼ねていて余り付加価値は無いが、本編を廉価に楽しめるのは有り難い。