上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0死の匂い
2017年10月8日に日本でレビュー済み
非常に美しいのだけど、どこか暗く、他のレビューで誰かが書いていたように、死を意識して作られたのかもしれません。
教授というと、アカデミックでアートな印象が強いですが、実はかなりPOPな人で、そういう不思議な混合が人気の秘密だった気がします。このアルバムは限りなくアートに絞ったのかもしれませんが、結果的に寒々とした、冷たい美しさが、全編に純粋に広がります。
これも他のレビューで書かれていましたが、何かが展開しそうなところで終わる、というのも、突如として訪れる死、そしてあえなく吸い込まれていく余韻が、滅びの印象を表しているのかもしれません。
ただ、デビッド・ボウイの最後のアルバムもそうですが、日常的に聴くのはつらいです。これを愛聴するのは病的な状態ではないかとも思います。別に教授はまだ生きられるのだし、臭いものには蓋をして、もっと下世話にやりたいことを追求してもいい気がするのですが......
もしかしたら、世界の情勢が、教授の心に暗く影響しているのかもしれません。ここにある冷たいデカダンスは、紛争や心の空虚さ、文化の衰弱、希薄な感情生活など、現代のベクトルとどこか似ている気もします。andata などはその無神のレクイエムにも聞こえます。
人生に行き詰まった時、訳もなく苦しい時などに、もしかしたら力を発揮する作品なのかも、とふと思いました。