上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0どこか味気ない
2009年10月10日に日本でレビュー済み
「アクセルワールド」という作品自体はかなり丁寧に、緻密に構築された世界観設定を持っているので
良く出来ている作品、といえるのだと思います。
キャラクターも個性豊かで立ち位置も明確で魅力は十分。
なのに、今回の第3巻はどこか味気ない。
それには恐らく二つの理由があると感じました。
一つ目は、途中で黒雪姫が離脱してしまうこと。
3年生になった黒雪姫は、修学旅行ということで序盤以外ほとんど登場することがなくなります。
これが痛かったのかもしれません。
言うまでもありませんが、黒雪姫というキャラクターはこの作品において最重要人物であり、毎回表紙を
飾っていることから看板キャラクターとも言えます。そんな必要不可欠な人がいなくなってしまっては味気なく
感じるのも当然なのでしょうね。
二つ目は、ストーリー展開が物語の本質とは少々かけ離れている、と感じてしまったことでしょうか。
これは前述の黒雪姫の離脱などからいた仕方ないことなのですが、7王の出番やそれに纏わるエピソードが
少なく、新キャラである「能美征二」の目論見を主軸にストーリーが展開されていきます。
彼の裏に組織めいたものがあることを要所要所で匂わせており、彼の立ち位置には若干の謎が残っているので
今回の一連の出来事が重要である可能性は十分にあり得ますが(あの終わり方からも)、それでも読者としては
レギオン同士の抗争や領土拡大.防衛、人物関係など気になる部分が次々とあるわけですから、それらが今回
取り上げられなかったのは正直残念でした。
以上の二つが私が味気ないと感じたが所以です。
そうなると一見見るべき所がないように思いますが、
タクムとの友情やハルユキの精神的・技術的成長、それによって戦闘では新たな概念が取り入れられるなど、面白味もあったのは
事実です。それに、今後の展開がなされていく上での準備の期間でもあったことを考慮すると決して無駄な内容ではないと思います。
今回の第3巻単体での評価は決して高くはありませんが、今後に繋がる何かがあったのだと思えた私個人としては
決して買って損だとは思いませんでした。