上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0今から100分強の時間を人生の中で裂くべき名作です。
2019年11月20日に日本でレビュー済み
時折映画は世界を改変します。
この70年以上も前の映画はその瞬間を今でも鮮烈に画像として焼き付けている名作。
怪物が独り歩きしていますが、物語が秀逸。
ストーリーに余計な贅肉が少ない分想像してしまう。
人種差別、人間のエゴ、階級闘争、宗教、そして醜い事への普遍的な差別意識。
100分少しの中で無駄なのは、最後の無理やり付け足したハッピーエンディングだけ。
ユニバーサル・モンスター映画の中で、コレほどシンプルで完結で完璧なストーリーは存在しないと思っています。
Fの怪物のデザインはその後の醜い生きる屍の原型となり、「フランケンシュタイン博士」は、Drと博士と云う言葉に冷血な人物像を与え、マッドサイエンティストの原型を生み出しました。
AIに職を奪われるかもしれないと恐怖は、シンプルに「フランケンシュタイン・コンプレックス」と云う言葉で説明できます。
もし、この映画が存在しなければどの様な言葉を使い、私達は共通認識を得たのでしょうか?
物語が世界を変えるとはチープでありふれた表現ですが、現実に存在している事を立証してくれる稀有な作品であるのが「フランケンシュタイン」です。
そんな名作をクリックするだけで見れてしまう時代。
正に現代のプロメテウスである情報処理技術を使う時、クラシック映画が問いかけきます。
私はフランケンシュタインなのか彼により作り出されたモンスターなのか?
100分の時間を割く価値のある映画です。
是非に鑑賞を。
そして、ボリス・カーロフ。べラ・ルゴシ。ロン・チャイニーjr。
この名前だけでご飯三杯はイケる人が増えてくれると嬉しいなぁと思います。