上位の批判的レビュー
5つ星のうち1.0これはやっぱりひどいんじゃないですか?
2018年11月22日に日本でレビュー済み
岡本喜八版と比較するさえ恥ずべき作品ですが、仕方がないので触れてしまいます。
お許しください。小生は岡本版の絶対信奉者ではありませんが、よいものはよい、
悪いものは悪い、そういうことには忠実でありたいと思います。
■基本的難点
すでに多くの人が描いておられますが、セリフが聞き取り不明です。
なにも理解せずに、ただ早口でまくし立てているだけのようにしか聞こえません。
日本の命運を決した「あの日」のことを描いているのに、これでは何にもなりません。
紙芝居よりも始末に悪いです。
■季節感の喪失
問題の「あの日」は、前後も含めて、ひどく暑かったと聞かされています。
しかるに画面の中の様子は、まるで秋風が吹いているかのようです。ほとんど、
誰も汗をかいていません。扇風機もうちわも(森師団長以外)出てきません。
涼しそうです。また、チリひとつ舞っていません。とてもきれいです。清潔そのものです。
これはいったい、いつの日の出来事なのでしょうか? 謎です。
■緊迫感の喪失
「緊張感は薄れたものの、主人公の人間表現は濃くなった」
こんなことを書いておられる人がいますが、とうてい、本気とも思えません。
どこかの家庭の問題を扱ったドラマであるならまだしも、日本の命運を描いた
「あの日」のドラマで、緊迫感を犠牲にして主人公の人間表現を採択する
ことはできません。それをやってしまったら、何のために、わざわざ「八月十五日」を
映画にするのか、その意味が無くなってしまいます。自己崩壊です。
だいたい、この映画の主人公って誰でしょうか? 阿南さんでしょうか?
岡本版でも、とりあえず役者の知名度などから、主演は三船敏郎(阿南)となっていますが、
それ以外のほとんどすべての役者が、確実に自分の主役場面を持ち、まれにみる
群像劇に仕上がっていました。高度なアンサンブル・キャストが実現していました。
原田版でいちばん痛感したのは、日本の役者の層の薄さでした。
■事実誤認
これも他の方が言っておられますが、鈴木内閣の組閣前に、任命当日に沈没した
戦艦大和のことを知っているかのような描写や、一線を退いて予備役のはずの人たち、
例えば、東條英機とか、現役のままの肩章で出てくるとか、意味のないめちゃくちゃが
多すぎると思います。誰も考証しないのでしょうか?
■監督の発言
劇場公開当時、監督がこんなことを言っていました。
「岡本版は自分にはつまらなかった、だから、その不満を補うために、これを作った」
どんなダメな映画でも、作られてしまうことを阻止することはできません。
しかし、この発言はひどすぎる。岡本版のどこがどうつまらなかったのか、
どこにどのような不満があったのか、ぜひとも具体的な指摘を、原田監督には
してほしいと、ずっと願いつつ、待ち続けているのだが、いまだに果たされてはいない。
誠に残念なことであります。