上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0真面目に作られた職業物コメディー
2016年10月16日に日本でレビュー済み
絵柄から、声優を題材にしたゆる~い感じの日常系作品かな?と予想してたんですが…
絵柄とは裏腹に、一話から業界の習慣や厳しい現実をリアルに描写した、真面目な職業物コメディーでした。
声優あるあるアニメという触れ込みですが、特に業界に詳しいわけでもないので、「あるある」と膝を叩けるような楽しみ方はできませんでしたが、それは別にしても業界の現実などはとても興味深かく拝見できました。
同じアニメ業界が題材ということでSHIROBAKOと比較されることも多いようですが、SHIROBAKOはアニメの制作業務全般を描写している業界ドラマの趣が強いのに対し、こちらはタイプの違う3人の若手声優を通じて、声優という仕事に焦点を絞った職業ドラマであると言えます。
主人公の持っているぬいぐるみのコロリちゃんがスポークスキャラとしていろいろと解説を挟んでくれるので、自然と疑問点も解消され、業界の内情にあまり詳しくない人でも楽しめると思います。
主人公の一ノ瀬双葉はデビューしたての新人声優という設定で、冒頭は「仏戦士ボサツオン」と言う作品でピポーというマスコットロボットの声を担当してるんですが、序盤でピポーは爆死して再登場がないことも聞かされます。
普段何気なく見ているアニメの端役の裏にも声優さんの喜怒哀楽があると改めて気付かされます。
ピポーは準レギュラーで終わりますが、スタジオで知り合った新人声優の萌咲 いちごと、劇団出身で中学生ながら子役時代からの芸暦は10年の小花 鈴と共にWEBラジオのパーソナリティに抜擢され、三人で友情を育みながら、一人前の声優を目指して困難を乗り越えていく…というのがあらすじです。
声優が題材ということでどこまで話が膨らむのだろうと思ってましたが、WEBラジオの出演をきっかけに双葉といちごと鈴でイヤホンズというユニットを組むことが決まり、4話辺りからは本業である声優での活動と平行して、イヤホンズでの芸能活動もストーリーの中心となっていきます。
ちょっとトントン拍子過ぎるかな?という印象も受けましたが、近年はそういう活動をされている声優さんも多く見受けられますし、エンタメ作品ですからこれくらいのトントンぶりは問題ないでしょう。
それに必ずしも、こういうユニット活動が声優事務所内での評価に繋がるわけではないということも終盤に描かれています。
作品のノリ自体は明るく軽めで、扱ってる題材から受けるイメージほど重い印象は受けません。
自分が出演していたドラマCD作品がアニメ化されるにあたり、当然レギュラー出演できるものだと思い込んでいたのに声の担当が親友に変更されたことを知って落ち込む双葉・・・
声優活動のため休みがちだったアルバイト先をクビになり、収入が滞ってガスも電気も止められ水シャワーを浴びるいちご・・・
(それでも、実家の父親には心配ないとメールで返信)
面談で芸能科のある学校への進学を勧められるが、これまで自分を応援し続けてくれた親友とは別の進学先を選ぶことに思い悩む鈴・・・
等々、それぞれのエピソードの中にはシリアスな内容のものもありますが、コメディタッチで描かれていますのであまり悲壮感を感じることもなく、さまざまな困難も基本的には明るく乗り越えていきます。
意地悪な先輩や足を引っ張ってくる同僚もなく、登場人物はほぼ全て善人です。
その部分では少し現実離れしてる感はありますが、仕事上の困難に理不尽な理由というのがありませんので、ヒロイン達が苦労している時も余計なストレスを感じずに観る事ができます。
基本的に、一話の中で起こった問題はその回が終わるまでに解決していくようなテンポです。
主人公に無駄な苦労を負わせることが目的の話でもありませんから、この作品はこれでOKだと思います。
レビューを投稿するにあたり他の方の評価も見てみると、意外にも賛否が解れていてネガティブ評価も少なくないことに驚きました。
もともと、ある程度業界に関する知識をお持ちの方が、自然と厳しい見方になっている傾向にあるんでしょうか。
ノンフィクションやドキュメントというほど硬派な内容ではありませんが、真面目な職ドラがコミカルなエンターテイメント作品に上手く仕上げられていて完成度は高いと思います。
ゆるゆるの日常系なんかを想像していると少し戸惑うかも知れませんが、知らない世界の事を見聞きするのが好きな方であればお勧めです。