上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0好戦的な第一真祖(よそもの)とテロリストに振り回される第2巻
2019年6月13日に日本でレビュー済み
球技大会の開催が近づく9月中旬。暁古城は藍羽浅葱を慮る築島倫の根回しにより浅葱とともに
バドミントンの混合ペアにエントリーすることとなる。
一方、獅子王機関から派遣された煌坂紗矢華の監視を条件に入国を許可され、公国所有の船で
絃神島を訪れた第一真祖「忘却の戦王」が支配する、東欧の夜の帝国(ドミニオン)・戦王領域の
アフィリエイトであるアルデアル公国の領主であるアルデアル公ディミトリエ・ヴァトラーは、
船上で自ら主催したパーティに古城と雪菜を招待し、国死皇派クリストフ・ガルドシュが絃神島に潜入し、
真祖に対するプレゼンスを得る目的から絃神島にてテロを企てていることそして自分は国死皇派と
戦った結果、絃神島にいかなる被害が生じてもやむを得ないという無責任な言葉を言い放つ。
古城と雪菜は絃神島が戦場になることを避けるべく、クリストフ・ガルドシュの拘束を目指すが、
ガルドシュの真の目的は遺跡から発掘された神々の兵器・ナラクヴェーラだった――が序盤のストーリー。
古城と紗矢華とのトラブルの隙を突き彩海学園に闖入し、雪菜・凪沙・浅葱の三人を拐かした
クリストフ・ガルドシュの目的とは何か、徐々に明らかになる表向きは飄々とした人物を演じる
矢瀬基樹そして何かが憑依したものと推察できる凪沙の本来の姿、クリストフ・ガルドシュの
言われるがままに石碑の解読を強制されたことに内心では癪に障っている浅葱に秘策はあるのか、
遺跡から発掘されたナラクヴェーラがなぜ(古代言語によるコマンドが前提ではあるものの)
現代の通常兵器を凌駕する存在であるどころか、自己修復機能や圧倒的な強さから現代はおろか
作られた時代においてもかなりのオーバーテクノロジーを持つ代物となり得たのか、そもそも
ナラクヴェーラは誰が作ったのかそしてヴァトラーの目的はナラクヴェーラへの純粋な
興味だけなのか――といった数多くの謎とワンテンポ遅れたその答えを輪唱のようにこれでもかと
連続投入するストーリーラインが第1巻から続いているのが分かる。
その一方で、今回の一件に獅子王機関が一枚噛んでいることを示唆するような描写から、
基本的には平和に暮らしたい古城を含めた登場人物たち各々の目的や思惑を見えなくすることに
よって、この先の展開が読めそうで読めないという絶妙な舵取りを作者が行っていることが分かる。
あと、ヴァトラーが絃神島に駐日戦王領域大使館を開設し、自ら特命全権大使に就任する
描写が見られるが、直接的な描写は無いものの、既に東京に駐日戦王領域大使館が
設置されていることが推察されることから、特命全権大使が同じ国に複数存在するという
おかしな状態は今後の展開で何らかの説明があるのだろうか。
(中国本土と異なる体制を取る香港の場合は領事館が置かれており、本来であれば絃神島には
領事館が設置されるのが自然である。ただ、大使館の設置場所が相手国の首都でなければ
ならないという取り決めは無い(例:イスラエルの日本大使館はテルアビブにある)ため、
東京から移転したのであればまだ納得がいく。もっとも、苦しい解釈ではあるが)