上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0エンタメの読みモノとしては平均やや下、ラノベの中ではまあまあ
2023年1月14日に日本でレビュー済み
シリーズ全巻(レビュー時点でAppend含め25巻)読破したのでレビュー。
先に私のレビュー基準について書いておくと
★3が「まあ普通」「取り立てて人にオススメだよとは言わないけど別に批判対象でもない」
★4が「光るものを感じる」「人にオススメしたい」
といった具合で、
★2になると「悪い点が多い」、★1は「買おうとする人を全力で止める」、★5は「少なくとも私は大好き、諸手を挙げてオススメのレビューを書く」レベルなので、滅多に★5や★1のものは無い。
何が言いたいかというと、今回の★3という評価は決して悪く評価してるわけではないということ。
- 総評
タイトルの通り。
- 評価詳細
そもそもラノベの類はあまり読まず、これまで読んできたラノベといえば天久鷹央シリーズ、ビブリア古書堂シリーズ、珈琲店タレーランシリーズくらい。それらと比較するとだいぶ毛色は異なるが、吸血鬼もの+ありがちなボーイミーツガールやジュブナイル系+イラストの配色に惹かれて読み始めた。
それらと比べて文章の質は劣るが、いわゆるなろう系のアニメや深夜枠のアニメ、能力バトルなどの中二的要素が好きなら「読んで大損を扱く」という結果にはならないんじゃないかという程度。
- 気になった点:作者の文章力と注意力足りてる?足りてないよね
そもそも文字書きという人種は比較的正しい日本語・物語に引き込む文を書く力があると思っていたので無条件に職ごと尊敬していたのだが、このシリーズを読んでいるとそうでもないと思い知らされた。新しい知見をくれたことには感謝したい。
具体的に何巻の何ページとか列挙しているとキリがないので具体的には示せないが、普通に慣用句や日本語の誤用、誤字脱字が多数見受けられる。「ぞっとしない」っていうのは「面白くない」っていう意味だぞ…なんか明らかに「ぞっとする」っていう意味で使ってるけど校閲した?(してないことは明らかなのでこの疑問符は煽りです)
そんな感じの、「なんか学生レベルでは気にならないか下手をすれば誤用の意味で定着させてしまうんじゃないか」という本当に微妙ラインの誤用を一冊に一箇所はしているという印象。
まあ日本人でも間違える日本語なんて少なくないので作者が取り立てて頭悪いとかそこまで言うつもりもないが、少なくとも商用に出回っている作品(同人出版を除く)でこのクオリティの文章が堂々登場するとは思わなかった。
- 気になった点:お前ら話聞けや
登場人物みんな自分勝手なのか性格に難があるのか、はたまた間が悪いだけなのかは分からないが とにかく人の話を聞かない、聞こうとしないキャラクターが多すぎて食傷気味。
例を出すと比較的序盤の巻で出てくる煌坂紗矢華、獅子王機関の上層部の人たち、中盤で主人公に立ちはだかるヴェレシュ・アラダール、全員自分以外の意見は基本的に受け入れないし全否定するし問答無用とばかりに戦いを挑んでくる破滅的性格をしている。極めつけは某大国の軍や、国連軍(作中では国連ではなく別のオリジナル組織だが似たようなもの、世界の平和維持機構を自称する団体的なのの軍)までもが一方通行の意思を持っているのが救えない。バカは死ななきゃ治らないとは言うが、世界のトップがアタオカな状況は本当に救いようがないのでもう笑うしかない。双方向の会話ではなく単方向の主張、もはや手じゃなく言葉でするオ○ニーだろこれと思いつつ私は笑いながら読んだ。
なお主人公の暁古城も例外ではなく、特に肉親である妹になにかあれば「てめぇ!!」と相手の主義主張なんて一切聞く耳持たず殴りかかる。君たちよくそんな破滅的な思考回路で十数年生きてこられたな。現代社会の寛容さが身にしみるわ。
こういった展開にはもちろん物語的な理由もあるのだろう(障害がないと物語はつまらない=>障害として立ちはだかるために問答無用で敵対すりゃいいじゃん的な思考だろう)が、明らかに多すぎないだろうか。というか下手すると全員じゃないか?本当に理想的な会話をしたキャラクターいたっけ… 25巻記憶を遡っても思いつかない。そんなレベルで全員会話できない。現実社会で居たら間違いなく距離を置きたくなるレベルで言葉のドッジボールを繰り広げているのはむしろ面白いので評価点にもなるかもしれない。お前ら全員精神科行け と言いたいところだが、そういえばまともな家庭環境で育ったキャラクターがいない気もしてきた。そう考えると理由としては納得できるし仕方ないのかも?(まともな環境で育った人物が一人も登場しないという別側面での作品の問題点はあるが)
話聞かないなら聞かないなりに、ディミトリエ・ヴァトラーの「そもそも性格が破綻した戦闘狂」みたいな明確な理由付けがあるだけでいい。理由なく話聞かない連中は本当にただ頭の悪い動物でしかなく、そんな動物しか登場しない物語なので理論主義的な人間がこの作品を読むと頭がおかしくなって死ぬかもしれない。
- 気になった点:キャラ付けってこんな安直でいいの
安直な口調や語尾、安直な行為やアピール行動が多くて読んでて「うわぁ^^;」ってなる。個人的には完全にエンタメとして読んでいる以上それも楽しいっちゃ楽しいので、人に作品を紹介するときにこれが駄目だから読まない方がいいとまでは言わないが 多分人を選ぶポイントにはなる。
反面教師というと批判になってしまうが、少なくともこのシリーズを読んだことによって他の物語の作者が如何に優れた文章力・キャラクターデザインをしていたのかが分かる。口調や露骨な行動で人間性を書き分けるのは本当に表面的で言ってしまえば「低レベル」な手法なのだと実感させられた。
- 気になった点:天丼
主人公がアクシデントで女の子とそれっぽい雰囲気になる => ヒロインがタイミング悪く登場 => 「違うんだ、これにはわけがあって!」 この下りがあまりにも多い。
実際こういう天丼的な手法を意識的に入れてるんだろうというのは読んでいてわかるので、これについてはそこまで否定的にレビューすべきポイントでもないかもしれない。が、個人的にはこれにたいしていつも冷たい表情で見下してくるヒロインがちょっとどうかと思う。これは作者の趣味だろうか?(踏まれて嬉しいとか、冷たい目で見下されたいとかそういう趣向があることは理解している)
さすがにこう何度もあれば見る側(ヒロイン視点)でも慣れるだろうに。それで嫌ならハッキリ言葉にして自分の意思を主張するとかすればいいのに、なぜかいつも「別にいいですけど」みたいな拗ね方をする。これも作者の趣味なのだろうか。これについては理解できないが、全然可愛くない。正直オタク女子が拗ねたときみたいな気持ち悪さがある。自分のせいで自分の機嫌悪くなってるみたいなもんだけどお前それ疲れない?みたいな
一度や二度ならまあキャラクターのエッセンスとして楽しめるイベントかもしれないが、毎度毎度これが続くので「他にネタないんか」となる。
- 気になった点:クール=かっこいいは違うじゃん
これは個人の趣向が多分に含まれるので参考程度に。
いわゆるキレたオタクというか、カッコよくキメようと意気込んで書いたキャラクターみたいなものが正直好きになれないので気になった。
創作ではよくある、悠悠閑閑と涼しい顔で敵を圧倒するシーンや静かな雰囲気をまとっているのに凄まじい力で大破壊をもたらすシーン。もっと明確にいえば「真顔で戦闘するやつ」とか「敬語で戦闘するやつ」。ああいう連中が本当に苦手。
戦いを、もしくは戦う相手のことを(精神的に)遠くに置いてけぼりにするような戦闘描写は見ていて気味が悪い。
命のやり取りしてるんだから顔を歪ませて歯を食いしばって全力で叫んで力をぶつけろよ。少年漫画のキャラクターのほうがよっぽど人間らしいわ。
主人公の暁古城は割りと必死に戦ってくれるのでそこは救いだが、ヒロインの姫柊雪奈がモロそっち側なので見ていて「うーん」ってなる。そりゃまあ強者が弱者と戦うときはそうなってしまうので仕方ないのだが(実際ヒロインは超強い設定で、たいていの巻で切り札として活躍する)、そういう「圧倒的強いですよオーラ」みたいなのを出してる連中はいけ好かない。
- 気になった点:御託はいいから殴れ
戦隊モノの変身シーンで敵が殴りかかってこない現象、あるいは敵が何故か自分の計画をペラペラ得意げに白状しちゃう謎シーン、案の定ラノベでもあるんだなと思い知らされた。
わかりやすいのが監獄結界解放後の脱獄囚達。アニメ版は見てないけど、あれ脱獄後の会話だけで3分は尺使ってるでしょ。脱獄直後に問答無用で戦闘してれば全部(脱獄囚たちにとっての)ハッピーエンドだったでしょ何してんの…
一応地の文では「主人公たちがあまりにちっぽけだから気にしてない」的な理由が言い訳がましく書かれていたがそもそもそれが意味不明。私は部屋に一匹害虫がいれば作業を中断して全力で叩き潰すし、仮に小さな子供が私に殺意を向けてきたら一切手加減なしで抵抗するし一度逃げても態勢を立て直してまた襲いに来る可能性があると分かればこっちから探し出して攻撃しようとする。相手と比較して自分が圧倒的優位だからといって手加減するのはスポーツや遊びだけであって、”敵”相手にそれをするのは慢心じゃなくて精神障害なのよ。思考力不足。
そういう言動をほぼ全巻の敵キャラが行ってくるのでこれまた滑稽。主人公たちも5,6回戦闘を経験したあたりからそろそろ気付いて殴りかかってもいいと思うよ。
- 評価したい点:魔族の設定
如何に魅力的なファンタジー要素を練ることができるか、ここはもう作者の妄想力(褒めてる)次第なので純粋に評価したい。もともとTRPGのダブルクロスとかファンタジー系の作品が好きで中二病的な能力バトルには目がないので、そういった作品を作り上げる著者の設定手腕は尊敬する。
好きとは言ってもアニメやラノベを沢山見てきたわけではないので、実はこの作者の設定がオリジナルではなく完全に既存物の丸パクリである可能性ももちろん承知の上だが、少なくとも私にとって初めて知る吸血鬼や眷獣、魔族や魔術についての設定は読んでいてとても楽しめた。
- 評価したい点:イラストレーター
ここは完全に個人の主観。
既に「絵がヘタ」と評するレビューもあることは承知の上だが、そもそもイラストの好みは人それぞれなので参考にならないし私の意見も参考にすべきではない。極論自分がいいと思ったイラスト以外に興味を持つ必要なんてない。
少なくとも私は表紙や口絵のイラストで使われている色味が好きだし、絵柄も決して悪くはないと思った。というか商用の作品で「ヘタな絵」が使われること自体(よほど特殊な例を除き)ないとも思っている。
つらつらと気になる点が出つつも全巻読み切ったのは、割りとこのイラストの存在が大きい。おそらくイラストなしで作品をレビューすると★一つは減る。そのくらいイラストレーターは評価したい。