上位の批判的レビュー
5つ星のうち2.05巻までは好きでしたが。。
2005年8月6日に日本でレビュー済み
この6巻はいただけません。正直ここまでクオリティーが下がるとは思っていませんでした。まあ、人の好みの問題もあるかも知れませんが、自分にとってこの巻は蟲師の面白い部分が発揮されていないように思えます。
自分がこの蟲師という漫画で好きだったのは、ただの奇妙な怪奇現象をミステリーチックに描いた漫画ではなく、きちんと蟲と人間の共存関係を描いていたからです。たとえば害蟲がいたとしても、それをただ駆除するのではなく、何故その蟲が害をもたらすようになったのか、それはその蟲が生きようとしていることだということをしっかり描いていました。人間も蟲も食物連鎖の中で必死で生きようとしている、その中でそのバランスをとってやるのがギンコの生業だったわけです。蟲も生きようとして、人間も生きようとして、それでいるからどうしても折り合いがつかなくて悲惨なことにもなりうる、そんなハッピーエンドかバッドエンドか読み終わるまでわからないという緊張感も、読む上で面白さを増していました。
しかし、この巻での蟲の描写は、5巻までの絶妙なバランスに比べて、蟲の存在自体がただの奇妙な隣人に成り下がっているような気がします。不思議な現象の隣にある人間ドラマになってしまい、蟲はただその現象を引き起こすものでしかなくなっているようにも思えます。人によってこの解釈は違うと思うし、こっちの方が人間の間のやりとりが現われて面白いと思う人もいるかも知れませんが、自分にはとても素っ気なく、まるで漆原先生の蟲に対する愛情が途絶えてしまったのではないかと勘ぐってしまうほどでした。
人によってはこのレビューを不快に思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、自分の率直な意見です。新規のファンの方は、とりあえず1~5巻を読んでみて下さい。素晴らしい作品です。それを読んでなおかつ自分の意見に納得できる人は、6巻は読まない方が無難だと思います。