18P、38センチ主砲の紹介文で主砲の口径(砲身長)を、「47口径(口径の47倍の長さ)」としているが、日本、イギリス式とドイツ式の口径表示は異なり、ドイツ式の口径表示は薬室の底部から砲身の長さを示し、日本、イギリス式の口径表示は尾栓頭からの砲身の長さを示すので、同じ口径でも、ドイツ式の口径表示は短くなる。日本、イギリス式にビスマルクの主砲38cm SK C/34の砲身長を換算すると51,66口径であり、ドイツ軍の公称より長砲身である。
次に砲弾の解説で「徹甲弾、準徹甲弾、榴弾」としているが、ビスマルクで使用された砲弾に関しては、情報が錯綜している。"Wikipedia"ドイツ語版のビスマルク級戦艦の記述によると徹甲弾の"Psgr L/4,4 m Bdz"、2種類の榴弾"Spgr L/4,6 m Bdz"、"Spgr L/4,6 KZ"の合計3種類が確認できるが、"Naval Weapons of the World"というサイトの記述ではもう一種類の榴弾である"Spr.gr. L/4,5 Bdz"の存在が確認できる。"Naval Weapons of the World"の中にある2種類の榴弾の炸薬量を比較すると、"Spr.gr. L/4,5 Bdz"の炸薬量が32.6 kgで、"Spr.gr. L/4,6 Kz"の炸薬量が、64.2 kgであるとことから、本書の記述にあ る準徹甲弾が"Spr.gr. L/4,5 Bdz"で、榴弾が"Spr.gr. L/4,6 Kz"と推測される。即ち、"Wikipedia"ドイツ語版のビスマルク級戦艦の記述が、L/4,5とすべきところをL/4,6とした誤記である可能性がある。しかし"Naval Weapons of the World"内にある"GERMAN SHELL FUZES OF WORLD WAR II"の記述では、以下の一文がある。
*The 38cm Spgr.m.Bdz L/4,6 used with BISMACK and TIRPITZ had a thin, but complete,AP cap to allow intact penetration into heavy cruisers or battle-cruisers, which had relatively thin face-hardened armor.
つまり上記の文章を読む限り、榴弾である"Spgr L/4,6 m Bdz"に、被帽付徹甲弾のような被帽が施されており、対艦攻撃に使用されたと読み解ける。これらから類推すると、38cm SK C/34用に準徹甲弾として"Spr.gr. L/4,5 Bdz"(厳密にはこの砲弾をドイツ軍では榴弾としていた。この砲弾を半(準)徹甲弾としているのは英語圏の文献であることに注意が必要である)が存在していたがビスマルクには搭載されず、徹甲弾の"Psgr L/4,4 m Bdz"と2種類の榴弾の内"Spgr L/4,6 m Bdz"が被帽付榴弾、"Spgr L/4,6 KZ"が純粋な榴弾として、用いていた可能性がある。そのため、本書の記述に関して、疑念が残る。
16P、19P「対空兵装」の解説文とCGに「3.7cm連装機関砲」とあるが、ラインメタル社製3.7cm SK C/30は「高角砲」であり、「機関砲」ではない。人力で砲弾を一発づつ装填するのである。大戦中に「ビスマルク」と「ティルピッツ」にドイツ海軍が使用した37mm機関砲W42およびW43が搭載された事実は無い。
20Pのティルピッツに搭載された"G7aT1"魚雷の解説で、「炸薬量は300キログラム、(中略)米英の魚雷と比べても少なめだ。ドイツ海軍は水上艦の戦闘では魚雷に期待していなかったといえよう。」とある。しかし、"G7aT1"の炸薬量は280kgとの資料が多数散見され、さらに"Naval Weapons of the World"の"G7aT1"の項目では、以下の一文がある。
I have seen numbers as low as 617 lbs. (280 kg) and as high as 948 lbs. (430 kg). It is possible that the lower numbers were for torpedoes issued early in the war and then heavier warheads were introduced during the war.