上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0欧州のシリアステイストに唸る、ウィルス&暴走列車の古典的名作
2018年10月8日に日本でレビュー済み
1976年公開の英・伊・西独合作のウィルス・パンデミック作品。欧州作品だけあって米国と国際機関が機密保持や細菌封じ込めの嫌われ役に設定されている。類似テーマに邦画では「復活の日」、後の米国では「アウトブレイク」が有名だが、本作がそれらの元祖だ。
時代的に仕方がないが、映像のスピード感や科学考証は物足りないし、ラストの特撮は流石に厳しい。それでも一流の脚本とキャスト、タイムリミット型シナリオは十分楽しめ、当時の「タワーリング・インフェルノ」や「ポセイドン・アドベンチャー」等の定石を踏んだ見応えのある作品だ。
スイス・ジュネーブから仏・パリに向かう欧州大陸横断特急が舞台だが、伏線を兼ねた多彩な乗客の紹介がしっかり成され、それぞれの見せ場で重要な役割を演じている。ロマンスや民族のトラウマ、軍隊の異様さ等をふんだんに盛り込み、お気楽なハッピーエンドにしない悲劇性と風刺の効いた欧風のシリアスな演出に好感した。
無機質なオフィスでの作戦進行光景や、気密装備の兵士の顔の見えない異様さ等、その後の映画に影響を与えた政府不信の着想は大きいし、朽ちたカサンドラ鉄橋の偉容さを巨大な処刑台に模した表現が素晴らしい。
贅沢なキャストの名演は一時も飽きさせず、「死ぬまでに、これを見ろ」シリーズに恥じない堂々の名作だ。
なおBlu-ray画像は年代を考えればまずまず、日本テレビ版の吹替は所々で字幕となるが気にならないレベル。
ウィルス&暴走列車系の教科書的な古典としてお薦めです。