上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0静かで、さらりとして、奥深い。
2013年1月20日に日本でレビュー済み
全曲ソロピアノ(ラストはミニマルなパーカッション・ミュージック)で、
新たに弾き直(新録)されている。
普通ならそのまま収録されそうな「エナジー・フロウ」も新しくなっていて、
オリジナルよりもさらりとした印象の曲になり、魅力が増している。
このアルバムが安易に作られていないのは、『裏BTTB』の他の2曲が選ばれていないことでも分かる。
選曲もいいが、曲の並びも面白い。2曲目から、6曲目までは、しっとりと”癒し系”。
「Lost Theme」などは、ほんとに優しい世界。意外なのが7曲目の「ハッピーエンド」。これは2012年リリースの
『THREE』の冒頭に置かれる曲。こちらは、YMOを経てきた人らしい、編曲。
それに続くのがその延長上の「千のナイフ」。これら2曲は、アルバムのアクセントとなっている。
9曲目の「ファウンテン」でもう一度、最初の流れにもどる。短い曲だが、点描のような音の流れが美しい。
10曲目の「シェルタリング・スカイ」。曲の雰囲気はそのままに、重々しさがなくなり
(和音をフォルテで弾く箇所はトレモロ処理)、時にオリエントを感じさせる香気が漂う。
この後の「ファム・ファタール」の出だしもよく、秋が深まり、枯葉の上を歩いていくよう。
世界の深さに向かったような曲が続いた後にくる「星になった少年」。光の方へ顔を向けた世界。
彼のアルバムはある程度持っているが、誰かに1枚プレゼントするなら、
今はこれを選ぶと思う。初めて”これを誰かに聴かせたい”と思ったCD。
ひとつ気になるのは、ジャケット・デザイン。内容と合っていないのではないか。
聴いてみると、自然で、アナログな魅力が味わえるアルバムなのだから。