上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0一人でも多くの方に読んでいただきたい
2019年1月15日に日本でレビュー済み
ファーウェイ問題で注目されているITビジネスアナリスト深田萌絵氏の新刊。都内某書店でいち早く入手して一気に読んだ。
深田氏は自らIT企業を経営し、8年前にファーウェイによるスパイ活動の被害を受けている。そのことを自らのブログや月刊誌の『WiLL』などで告発してきた。だが、残念なことに、長年の告発は冷淡にも無視されて、いや、それどころか、深田氏の主張自体に懐疑的な見方も多かったそうだ。
だが、アメリカがトランプ政権に変わってから、大きく流れが変わり、ファーウェイ副社長が逮捕されたベストタイミングで本書が登場した。
本書が一貫して主張しているのは「ITを知らないと、国を亡ぼしかねない」ということだ。ITはすでに企業間競争を超えて国家間競争の段階に入っており、国が対策を重ねないと覇権を握られ、ゆくゆくは「IT覇権国」に情報支配も受けかねない。情報を握られれば、国の主権を奪われたに等しいのである。
最大の懸念はもちろん中国だ。ITを司るインターネットには「アメリカ型」と「中国型」の流れがあって、もし中国型が覇権をとれば、中国はそれを「世界支配」に活用していくのは間違いない。
私が驚愕したのは、日本からの技術流出を狙うのは「中国」だけでなく、その裏に台湾の半導体シンジケートがいることだ。青幇(ちんぱん)と呼ばれるそうだ。台湾は私たちには親日国として認知されているが、ITに関しては(もちろん一部の人間だが)日本にも牙をむいている。この指摘は初めて聞いたこともあってか、かなり重要だと感じる。
深田氏によると、日本の最大の問題は暗躍する中国・台湾・北朝鮮などに動きに全く対応できていない日本政府の態度だ。また、日本においてはスパイは「合法」であって、法的な備えすらできていない。単なる「反中」では問題は全く解決できず、政府の怠慢をただし、国家としてIT技術を死守する覚悟が必要だと痛感した。
本書を多くの人に読んでいただき、これからの日本に必要なことを多くの方に共有してほしいと思う。日本の未来を口先だけで憂いていても何も始まらない。本書には具体的な懸案事項とその対策が書かれており、あとはそれを実行するだけなのである。