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教育経済学の実証研究の成果を要領よくまとめたものです。手法は計量経済学であり、因果関係の識別に注意を払った論文が集められているので、短時間に多くの知識が得られます。と、同時に、教育経済学が真に(費用対)効果ある政策の識別に果たす役割もよく分かります。筆致も軽快で、一般の読者にもわかりやすいでしょう。

しかし、教育経済学の実証研究は、あくまで政策の平均的な効果しか示しておらず、一般にそれは、子どものアウトカムの5-15%程度までしか説明できません。統計的有意性と現実の説明力は別物です。説明できない要素は子どもの個別の事情であり、それは、保護者が自分の子どもをよく理解し、先生が子どもと向き合うことでしか獲得できない情報です。

子どもと向き合い、個別の子どもに応じた子育てや教育をするのが親の役目ですから、5-15%の平均の効果を鵜呑みにするよりも、子どもをよりよく知り、残りの80%を信じて子育てをする方が理にかなっていますし、ほとんどの親は実際にそうすることを選ぶでしょう。この本を鵜呑みにする親は、自らの子どもを理解するための時間も努力も惜しむ親でしかありません。したがってこの本は、せっかくの科学的研究成果を紹介しながらも、それを平然と「個別の親への助言に役立つ」と言い切ってしまっている点で、心理学の本に多い「ポップサイエンス」に墜ちてしまっています。

たとえて言えば、「この会社の株を買った方がいいか?」と質問してきた人に「景気が上向きだから買った方がいい」と助言するようなものです。個別の株の売買にとって重要なのはその会社固有の業績やガバナンスの情報です。マクロ経済だけでは決められません。また、株であればポートフォリオを組むことで、個別の株の情報不足を補ってマクロ的リターンに近づけることができますが、子どもは一人一人の人権と人生がかかっていますので、個別に向き合うことの価値はかけがえがありません。

私が親しい友人にアドバイスを求められたらこう言うでしょう。「経済学者に株のことが分からないように、あなたの子どものことは分かりません。まず、自分の子どもとよく向き合い、この子が何をするときに目を輝かすか、何をさせるとフラストレーションをためるか、よく理解しなさい。その上で、あなたの責任で、その子にベストと思われることを自信をもってしてください。そのための時間を惜しんではいけません。そこまでやっても不安だったら平均的な研究結果を教えますよ。」評論家と同様、研究者に必要なのはそういった控えめさでしょう。

しかし、教育委員会や文科省にとっては政策の平均的な効果こそが大事ですから(格差が広がらないことも前提だが)、この本やその背後にある学術研究をとことん知っておくべきなのです。特に、教育現場の先生方は、個別の政策の効果をある程度肌で感じることができても「費用対効果」までは考えが及びませんので、教育政策の費用対効果に関心のある人にはきわめて有益でしょう。
25コメント25件| 1,150人のお客様がこれが役に立ったと考えています. このレビューは参考になりましたか?はいいいえ違反を報告
2016年10月28日
子の学力を伸ばすのに親はどうすればいいか?という問いのために購入しました。
大変読みやすく、そして説得力があり、今後の参考になると思いました。

ただし、書籍の後半からは趣旨が変わってきます。
教育経済学や政策に関する話になりますので、私個人としては興味深く読ませていただいた反面、
冒頭に記載した「子の学力を伸ばすのに親はどうすればいいか?」"のみ"の内容ではありませんのでご留意ください。
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2016年1月26日
全体を通して、1つ2つのデータのみを根拠に論を展開する強引さを感じた。

学力テストの結果が非公表であるなど、日本での研究のしづらさを嘆く筆者の意見はその通りとしても、引用するデータのほとんどがアメリカの学校のものでは、日本の教育にどこまで応用できるのか?と疑問に思ったのは私だけではないだろう。
社会環境、貧富の差、教育内容、学制、入試制度、評価方法。これらのものが異なる日米の教育では、教育の出発点も目標も評価軸も異なるわけで、両国の「学力」が果たして同列に評価・比較できるものかはもっと慎重であるべきと思う。

教育の成果は結果論であり、そこに影響するファクターの多さは膨大である。
一つの指標に過ぎないが、例えばOECD共通試験のPISAの点数を比較した場合、潤沢な教育予算と著者が絶賛する豊富な教育実験に恵まれたはずのアメリカの点数が全く振るわないのに、乏しい教育予算とろくな研究蓄積もない日本のそれが(多少の上下はありつつも)、人口1億人を超える国の中ではほぼ例外的に世界トップクラスをひた走っているのも歴然たる事実。このあたりに、論文一つのデータでは語れない教育の難しさがあると思う。

また、(失礼ながら)アメリカの研究ならまだマシなほうで、途上国であるケニアの公立小学校だのマダガスカルの学校の学力の変化などを持ち出してきた時には、つい首をかしげたくなった。
マダガスカルの学校での研究の結果から、筆者の言うエビデンスベーストな最も費用対効果の高い学力向上策とは、ズバリ「『勉強するとお金持ちになれますよ』という事実を生徒に伝えること」だそうで。これで成績が上がれば、学校も塾も保護者も苦労は無い。
(もっとも、生涯年収を上げるためには、学力というのは部活動の成績だの容姿だのよりははるかに効率のいい武器だ、という事実を伝えること自体には個人的には大賛成だが。野球人口の上位1%にいても甲子園出場すら覚束ないが、学力なら上位1%にいれば東大京大など余裕だから)

読んでいて感じた著者のスタンスは、非常に財務省的である。教育予算を拡充させて学力を向上させようというより、いかに「エビデンス」に基づいて現状程度の予算でやりくりしようか、というものに感じた。こういう学者に政策提言をさせることには危機感を感じる。

例えば「少人数学級は効果なくはないけど、費用対効果は薄いよ」という主張。
その根拠であるグラス・スミス曲線を鵜呑みにすると、グラフから日本の40人→35人の変化などほぼ少人数効果が見られないレベルでの人数変更であることが読み取れる。
ここで、「やはりここは35人を少人数学級などというごまかしはやめて、もっとお金をかけて20人学級にすれば、少人数効果がもっと表れるはずである」という主張をすることも可能なはずなのだが、著者はそれをしない。

他にもことあるごとに「巨額の財政支出に見合った・・・」だの「教育費を上げるのなら消費増税しないと・・・」という消極的な記述が目立つが、これまたOECD平均を見れば、GDP比教育予算がぶっちぎり最下位である状態が何年も続き、子どもの貧困率が先進国中最悪というこの国が、選挙前に全国公立大の授業料1年分に相当するという3000億円を老人にバラまくこの国が、果たしていつ教育に対して巨額の財政支出をしたのか、著者にはこの辺りの認識も是非お伺いしたいものだ。

長々と書いたが、「教育にエビデンスを」という著者の意見には全面的に賛同する。
しかし、例えば怪しげな健康食品ですら、胡散臭い自称理学博士による「エビデンス」に基づいて効果を喧伝することはできるのである。本書はむしろこの類であろう。
本書はあくまで、主にアメリカの教育経済学の知見の雑多な紹介に過ぎない。国内の教育学との融合もなく、教育政策の参考になるような次元の話でもない。よく売れているようであるが、本書をエビデンスとして教育を語る者がいるなら、その見識を疑う良いリトマス試験紙にはなるだろうか。
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2016年10月7日
確かにそうだねと思える事が書いてある。
が、多く引用されている外国での調査結果は、
著者に都合のいいデータを出しているようでもあり、
偏りのないデータかどうか、確信が持てない。

・息子3人を東大理3に入れた母親の本が売れたが、
 これは「例外中の例外」であり、規則性のある事ではない
 ので、妄信するのは危険だ。

・日本では「私の経験では」という人が多く、科学的な根拠に基づく
 教育の考え方が浸透していない。

・「読書」で「学力が高くなる」とは、限らない。
 学力の高い子供が、読書しているだけかもしれないし、
 教育に関心の高い親なのかもしれない。

・教育投資は、株式投資よりも、収益率が高い。

・1日1時間程度なら、テレビやゲームの影響はないが、2時間になると影響がある。

・親から虐待を受けている子供など問題児は、クラス全体のマイナスとなる。

・小学校入学前が、もっとも教育収益率が高く、社会収益率は7%から10%。

・IQなどの認知能力の優位性は、8歳まで。
 忍耐力や社会性などの非認知能力の方は、生涯に渡って役に立ち、学校生活で
 培われる。

・「年齢とともに記憶力は弱くなる」など先入観を刷り込まれると、
 人はそれを踏襲してしまう。

・しつけを受けた人ほど、年収が高い。

・少人数学級は、大した効果がない。

・学力は、遺伝と家庭環境で7割方決まるので、学力テストの結果は、
 家庭の資源の順位と言ってもいい位だ。

・従って、学校の資源だけを考えても効果は上がらない。

・「子供手当て」は、学力向上の役には立たなかった。

・教育委員会や自治体がデータを公開せずに、手前勝手な分析をするのは、誤り。

・能力の高い教員は、家庭の問題を帳消しにできるほどの影響がある。

・教員の「数」より「質」の向上が効果的。

・教員免許の有無での「質」の差は、小さい。

・ランダム化比較実験をしないと、集団の偏りが生まれ正しい分析はできない。
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2015年10月28日
自分も子を持つ親です。
私はこの本を通して以下を示しながらお勧めしたいと思いました。

1. なかなか表に出てこない大学等で行われるアカデミックな研究成果を元に書かれたこと。
私の仕事もそうですが、専門家の中だけでデータを見せ合いあーだこーだいっている部分があります。
専門家と思われる何名かのレビューアのかたが「あれはおかしい、この統計はおかしい」などなどとおっしゃっていますが、専門でないかたにデータを示すには難しいのだから、こんなこと(わかりやすく書いた本を出すこと)はやめろといっているように聞こえます。
ですが、研究をできるだけわかりやすく、しかし、科学では言い切れない部分があるということを示す難しさを中室さんは勇気を持って書かれたと思います。

2. 自分で考えることの大切さを示されたこと。
テレビ等で発言する方々はこの本以上に言い切って様々なことを発言します。
大学教授だ、何とか博士だと肩書きを出しながら、時に研究室のゼミの風景や研究しているところを見せて、権威を見せるかのように。
この時点で、視聴者のかたは「あんなすごいヒトが言っているのだから正しいんだ」と思考停止に陥ります。
この本で示されるのは、そうおっしゃる方もいますが、こういうデータもあるんですよ。という部分があり、自分で考える大切さを教えてくれているようです。

最後に、私たちの中には経験に基づく「バイアス」があり、ひとつの本でもいろいろな意見が出てくると私は考えます。
(ですので、もちろんこのレビューも「私」というバイアスがかかっているので、正しいとは思いません。)
まして、自身の子に関わる大切なことであればなおさらです。
ですので、頭から「ここはおかしい」「私が正しい」というのではなく、私はこう思うがどうか?と問いかけながら、本やここでの討論を行ってほしいと思います。
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2016年10月11日
はじめに読んだ時は、ふぅ〜ん…
と、わかったような、わからないような感じでしたが、最後まで読んだ知識を元にはじめの部分を読むと、なるほど!とわかりました。
すでに、子育ては終わっていますので、自分の子供のためには生かすことはないです。
しかし、納税者として、教育の費用対効果をあげることに賛同します。研究が進むことに期待しています。
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ベスト1000レビュアー2015年11月16日
教育に関して信じられていることでも、逆効果なものもある。例えば、褒美を与えるタイミングは、着手する前の方が良い。結果に対してインセンティブを与えるよりも、統計的には着手前にインセンティブを与えるほうが結果が良い。また、教育に対する投資は大学に行かせるというのは最も収益率が低く、小学校前に投資をするべきだというのが科学的根拠からの結論ということ。この本だけを鵜呑みにすると言うのは良くないかもしれないが、新たな視点が得られたという意味では良い本だった。子供の教育に対する研究に興味がある方におすすめ。

【学びのポイント】
1)学期の終わりになると学生の親戚の訃報が多くなるのは統計的にあり得るか?
 ・「わたしは長年の教職経験から、いつも学期の終わりごろになると、学生の親戚の訃報が相次ぐことに気がついた。
 ・しかもそのほとんどが、期末試験の1週間前と、論文の締め切り直前に集中する。
 ・1学期あたりの平均では、わたしの学生の1割ほどが、だれかが―たいていは祖母が―亡くなったと言って、締め切りの延長を求めてくる」   私がこれに驚愕したことはいうまでもありません。
 ・なんと、かの有名なアリエリー教授までもが私と同じ体験をしておられるとは。
 ・そしてアリエリー教授の本では、ある怖いもの知らずの生物学の教授が、「試験と祖母の急死の間の因果関係」を明らかにするための研究を行ったことも紹介されています。
 ・その教授が過去の自分の授業で収集したデータを分析した結果によると、祖母が亡くなる確率は、中間試験の前で通常の10倍、期末試験の前には19倍になり、さらに成績が芳しくない学生の祖母が亡くなる確率は50倍にも上ることが示されたのです。

2)インプットとアウトプットのどちらに褒美を与えるべきか?
 ・インプットにご褒美を与えると、子どもたちは本を読んだり、宿題をしたりするようになるのでしょうが、必ずしも成績がよくなるとは限りません。
 ・一方、アウトプットにご褒美を与えることは、より直接的に成績をよくすることを目標にしているのですから、直感的には、アウトプットにご褒美を与えるほうがうまくいきそうに思えます。しかし、結果は逆でした。
 ・学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだったのです。
 ・とくに、数あるインプットの中でも、本を読むことにご褒美を与えられた子どもたちの学力の上昇は顕著でした。
 ・一方で、アウトプットにご褒美を与えられた子どもたちの学力は、意外にも、まったく改善しませんでした。
 ・どちらの場合も、子どもたちは同じように喜び、ご褒美を獲得しようとやる気をみせたにもかかわらず。
 ・なぜ「テストでよい点を取る」というアウトプットにご褒美を与えることは、子どもたちの学力に影響を及ぼさなかったのでしょうか。
 ・鍵は、子どもたちが「ご褒美」にどう反応し、行動したかということにありました。
 ・「インプット」にご褒美が与えられた場合、子どもにとって、何をすべきかは明確です。本を読み、宿題を終えればよいわけです。
 ・一方、「アウトプット」にご褒美が与えられた場合、何をすべきか、具体的な方法は示されていません。
 ・ご褒美は欲しいし、やる気もある。しかし、どうすれば学力を上げられるのかが、彼ら自身にわからないのです。
 ・ここから得られる極めて重要な教訓は、ご褒美は、「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えるべきだということです。

3)能力と努力のどちらを褒めるべきか?
 ・子どもをほめるときには、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げることが重要です。
 ・そうすることによって、さらなる努力を引き出し、難しいことでも挑戦しようとする子どもに育つというのがこの研究から得られた知見です。

4)学力の高い優秀な友人から影響を受ける範囲とは?
 ・実は、学力の高い優秀な友人から影響を受けるのは、そのクラスでもともと学力の高かった子どものみなのです。
 ・中間層やもともと学力の低い子どもたちは、何ら影響を受けないことがわかっています。
 ・それどころか、自分のクラスに学力の高い優秀な友人がやってきた場合、もともと学力が低かった子どもには、マイナスの影響があるということを示す研究もあります。
 ・なぜ、学力の高い優秀な友人は、もともと学力の低かった子どもにマイナスの影響を与えるのでしょうか。
 ・スウェーデンの高校生のデータを用いた研究は、学力の高い同級生の存在は、学力の低い生徒の自信を喪失させ、大学への進学意欲を失わせたことを明らかにしました。
 ・この意味では、学力の高い友だちと一緒にいさえすれば、自分の子どもにもプラスの影響があるだろうと考えるのは間違っています。
 ・むしろ、レベルの高すぎるグループに子どもを無理に入れることは、逆効果になる可能性すらあるのです。

5)教育を投資と考えた場合にどの教育段階の収益率がもっとも高いのか?
 ・これまでの研究が明らかにしているところによると、人々は「教育段階が高くなればなるほど教育の収益率は高くなる」と信じているようです。
 ・つまり、子どもの成功のためには、小学校よりも中学校、中学校よりも高校、高校よりも大学や大学院と、学齢が上がるほどかけるお金や時間を増やすべきだと。
 ・たしかに、大学や就職先選びなど大事な選択の直前をどう過ごすかが、その人の人生により大きな影響を与えるのではないかと考えるのは理にかなっています。
 ・このため人々は、子どもが小さいときはお金を貯めておき、そのお金を子どもが高校や大学に行くときに使おうとするのです。しかし、教育経済学はこの思い込みを真っ向から否定します。
 ・教育経済学の研究蓄積にはまだまだ議論が収束しないテーマも多いのですが、どの教育段階の収益率がもっとも高いのか、と聞かれれば、ほとんどの経済学者が一致した見解を述べるでしょう。
 ・もっとも収益率が高いのは、子どもが小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)です。
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2015年10月28日
現場教員としては、数字で教育を語ること対して、やはりアレルギー的な忌避感はあります。しかしながら、文科省の全国学力・学習状況調査や、県教委の基礎・基本定着状況調査が導入されて、数字で学校間を比較することが、当たり前のように行われているのが本県の実情です。町教委のお偉いさんには「全国学力、基礎基本の結果に一喜一憂せよ」と、そんなことまで言われたことがあります。そして、それに倣っている先生方もたくさんいます。現場はすでに、数字に翻弄されているのです。

私は、このような実情に対して、正直言って、かなり辟易しています。門外漢にも、「それは違うだろう」と指摘できるような、ずさんな数字の比較が行われているからです。例えば、「同一校において、平成26年度の2学年のテストの結果と、平成27年度の2学年のテスト結果を比較」して、平成27年度のほうが成績が落ちているから、改善計画を提出しなさい、と、そういうことをやっています。「荒れているA校と、落ちついているB校との学力テストの結果を比較」して、B校のほうが良い結果だ、B校に学べ、などといわれることも珍しくありません。

中学校理科で「対照実験」を勉強していれば、もう、その時点で分かることですけれど、学校間の教育力を比較するんだったら、それ以外の条件を揃えておかなければ比較の意味がないわけです(本書においては、そのため実験手法として、ランダム化比較実験という手法が紹介されています)。しかし、現場ではそんな当たり前のことが、意図的に無視されています。多分。……いや、意図的でなければ、日本の教員は無能だと馬鹿にされても仕方がないです。なんとなくですが、現場では「家庭のことなんか教員が努力したってどうしようもないんだから、教員で全責任を抱えよう」という姿勢が賛美されているような雰囲気を感じます。

私は、そういう雰囲気が嫌でなりません。フェアじゃないし、教員で全部を抱えようとするのは、単なるマゾヒズムだと思います。教育は、学校だけで完結するものではありません。私は実際、現場に出てみて、一教員の無力さというものを嫌というほど感じています。(もちろん、自身の力不足もありますが。)

学力テストの結果公表について、筆者は次のように述べています。

もしも順位を公表するなら、学校名だけでなく、その学区の生活保護率、就学援助率、学習塾等事業者の数や売り上げなど、家庭の資源を表す情報も紐づけて公表すべきです。そうすれば、学力が学校の資源だけで決まっていないことは一目瞭然ですし、「子どもの学力を上昇させるためには、学校だけでなく、保護者や地域が力を合わせて取り組んでいかなければならない」というメッセージを発信することにもつながるでしょう。pp.125-126

実現は、現状では難しいでしょうけど、私は妥当な意見だと思います。
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2016年11月7日
前半は子供の教育だけでなく、ほかの事象にも使えそうな記述でとても面白かった。
ただ後半は日本の教育関係の批判を記述しているところが多く、誰をターゲットに書いているのかわからなかった
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2015年9月3日
かなりの頻度で太字での強調表現があるが、その根拠となる実験の詳細などは示されていないことがある。
そのため、どの年齢層までを範囲にした実験であるのか、またどの段階で逆転が起きるかなどが分からず、子どもの心的側面に関しては「~考えられます」「~でしょう」と推測が交じることもあり、全体的に根拠が薄いように感じた。
人間の発達段階を無視して、小学生から大学生までを同一視して語るのはあまりにも乱暴だろう。
まともな部分はすでに教育学で言い古されてきたことも多い。
帯にあるようなセンセーショナルな文句を述べたいがために、「結論ありき」で、その結論を語るために必要なデータ・論文を集めてきて紹介しただけの部分も多いように思える。
作者の言うこととは真逆の結果を示すデータ・論文もあるわけだから、なぜそのデータが間違いで作者の意見が正しいのか、もう少し丁寧に論を進めてほしかった。少なくとも「(作者とは逆の意見の論文)は多くはありません」(巻末注に2論文紹介)→(作者の意見に合う論文)一つだけ本文で紹介、という流れは、いくら紹介本だといえ、論展開が雑すぎるのでは?
数少ない「買って後悔した一冊」だった。
作者に恨みはないし、あまりレビューはしない方だが、こうした雑な論が正しいと勘違いされて流布される状況に危機を感じたため書いた。
(本文中に出てくるある自慢は、前後の文脈とは関係しているようで一切関係がなかったりする。その点は面白かった。)
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