上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0中学〜大学初級までの数学の公式や定理が網羅されている
2019年1月11日に日本でレビュー済み
書斎で勉強する小学生の息子の算数・数学の勉強をみる傍ら、私自身も脳トレの一環として数学検定1級取得を目指して数学の再学習にとりかかりました。数学を離れて25年近くたちましたが1年半で高校数学の範囲までは再学習できました。今は大学教養レベルの線形代数や解析を学習中です。現在の数学力としては東大・京大の入試レベル(理系)であれば8〜9割が完答できる程度です。そんな背景の読者としてのレビューと思って読み流してください。
この本ですが社会に出ても仕事・日常生活などで役立つ数学の公式や定理が幅広く紹介(網羅に近い)されており、それぞれの公式や定理を初心者にも分かりやすいように丁寧に解説されています。コラムも含めとても面白いです。しかし、取り扱う公式や定理は中学生レベルの四則計算・2次関数・ピタゴラスの定理などから、関数の1次近似・テイラー展開やマクローリン展開・微分方程式・オイラーの公式・ラプラス変換など大学初級レベルまで扱われておりレベルは決して低くありません。むしろハイレベルな本です。中心は高校数学の範囲ですが、行列や1次変換あるいは高度な統計(回帰分析・因子分析など)についても扱われています。したがってこの本を読みながら数学の公式や定理を学んでいくと言うよりは、中学〜大学初級まで様々な段階における教科書的なテキストを学習した後に知識を整理する、あるいは学生や受験生が試験の前に短時間で公式や定理を確認するとか辞書的に使用するといった目的の方が適していると思います。
さて、そもそもこの本は社会に出ても仕事・日常生活などで役立つ数学の公式や定理の紹介がモチーフのようで受験数学をターゲットにはしていないようです。そのため使われている用語が厳密な数学用語ではなく(逆にこれが素人には取っつきやすいのですが)分かりやすい言葉・表現が遠慮なく使われています。また確率や統計により多くのページが割かれているのも特徴になってます。
ところで、それぞれの公式や定理には、教養・実用・受験それぞれにおける重要性が☆5段階で示されています。これをみると受験における重要な公式や定理が必ずしも実用面で重要ではないと言うことが見えてきますし、逆に受験では重要視されない公式や定理が仕事や日常生活では大きく役立っていると言うことも見えてきます。この観点からも趣味で数学を学び数学を楽しんでいる身としてはとても面白い本だと思いました。
高校範囲外ではあるが知っていると穴埋め問題や筆記試験でも検算で役立つお得な公式や定理も紹介されています。余裕がある大学受験を目指す高校生でも一見の価値ありと思います。