上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0部分均衡重視
2017年4月26日に日本でレビュー済み
最初に需要・供給のバッテンのグラフを見せてしまって、あとからその根拠となる消費者・企業の行動を説明するというスタイルを取る。
「基礎編」の本書は一貫して部分均衡によって書かれており、エッジワースボックスすら顔を出さない。
予定されている続編の目次を眺めても、一般均衡は最後にちょこっと顔を出すだけだ。
おそらくこれは、本書が現実の分析への応用を念頭に置いているためだろう。
一般均衡理論は美しいが、現実のデータをあてはめるには使い勝手が難しい。
ただ、一生ものの分析力が身につくと帯でうたっているが、それは怪しい。本書を読めば「ヤバい経済学」のように現実の経済データを使った分析ができるようになるかというと、そんなことはない。挙げられている事例は豊富で面白いが、定性的な記述が多い。もっとも、計量経済学に踏み込むのは本書の目的を外れるだろうから、この点はやむをえない。
本書は中級テキストとのことだが、記述スタイル、難易度の点からVarianや奥野を代替するようなものではない。応用ミクロを念頭に置いた入門書と考えるのが良いのではないか。