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ヤンキーと地元 (単行本)
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カスタマーレビュー
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上位の肯定的レビュー
未知の世界を安全に知ることができた
2019年4月6日
読書の効用とは、知らない世界を疑似体験できることにある。
そういった意味で、ヤンキーあがりの建設業者、風俗経営者、ヤミ業者の友人がいない人(私も)にとっては、彼らが生き抜いている世界を、安全に垣間見ることができる良書。
感想としては、調査対象者のほとんど全ての人が、人間関係を上下で捉えていることに衝撃を受けた。
年齢の上下、稼ぎの多寡、喧嘩の強さ、雇うか雇われるか、など。
こうした上下の世界観が、不健全な競争や恐怖心を助長し、DVを含む暴力に繋がっていると感じた。
逆に、彼らが真剣に自分の人生と向き合って、未来志向的な視点を得るかどうかを分けるのは、1人でも自分のことを一人前の人間として認めてくれる人がいるかどうか、だと思った。
そういった意味で、ヤンキーあがりの建設業者、風俗経営者、ヤミ業者の友人がいない人(私も)にとっては、彼らが生き抜いている世界を、安全に垣間見ることができる良書。
感想としては、調査対象者のほとんど全ての人が、人間関係を上下で捉えていることに衝撃を受けた。
年齢の上下、稼ぎの多寡、喧嘩の強さ、雇うか雇われるか、など。
こうした上下の世界観が、不健全な競争や恐怖心を助長し、DVを含む暴力に繋がっていると感じた。
逆に、彼らが真剣に自分の人生と向き合って、未来志向的な視点を得るかどうかを分けるのは、1人でも自分のことを一人前の人間として認めてくれる人がいるかどうか、だと思った。
46人のお客様がこれが役に立ったと考えています
上位の批判的レビュー
ジャーナリズム未満のレポート
2019年4月4日
あえてレビューするほどの本ではないと思ったが、他の読者から高評価が付いているので、それだけを見て誤解する人がでないように感想を記しておきます。
著者が面白い経験をしたこと、それには相当な労力を費やしていることは認めます。
しかし、本書に記録されているのは、著者の目に触れた限りの、断片的な経験です。しかも会話記録がメインで、あとはそれをなぞる短い説明が付されているだけです。
もしこれがジャーナリズム（調査報道）の世界なら、ここで登場人物が語っていることが真実なのか、裏をとる必要があります。また、学術研究だとしたら、個別事例を出発点として作業仮説を設定して他の事例を探すなり、社会制度の問題に展開するなり、掘り下げていくことになるでしょう。本書は、そういった裏取りや掘り下げがない点でジャーナリズム未満です。
社会学の世界には「エスノグラフィー」という便利な用語があるらしく、個別体験の記録であってもそれなりの価値が与えられるようです。しかし、学術的な価値の評価は専門家にお任せするとして、一般読者の目線からすれば、NHKスペシャルよりも浅いレポートにあまり面白さは感じません。
あとがきで著者が触れている「野生の思考」や「ハマータウン」は、未読ですが、この程度の代物なのでしょうか。
（そういえば、むかし「暴走族のエスノグラフィー」という本を図書館で読んだような気がします。それはもっと面白かったように覚えているのですが。）
文章もあまり上手ではありません。会話分析ではないので、対話をそのまま記録しても中身が薄いですし、その薄い対話をリフレインするだけの解説文もスカスカな印象を受けます。
良かった点は、ヤンキーの世界における先輩・後輩関係の重みが分かったことです。この辺りは、一般常識としても知っていることですし、関東連合関係者の告白本などにも読み取れることですが。
というわけで、★５つは違うだろう、というのが私の感想です。
（追記）
本書を読んで、未知の沖縄を知りたいと思った人は、なにかの縁だと思って、藤井誠二「沖縄アンダーグラウンド」講談社(2018)をあわせ読んでください。こちらはお勧めです。
著者が面白い経験をしたこと、それには相当な労力を費やしていることは認めます。
しかし、本書に記録されているのは、著者の目に触れた限りの、断片的な経験です。しかも会話記録がメインで、あとはそれをなぞる短い説明が付されているだけです。
もしこれがジャーナリズム（調査報道）の世界なら、ここで登場人物が語っていることが真実なのか、裏をとる必要があります。また、学術研究だとしたら、個別事例を出発点として作業仮説を設定して他の事例を探すなり、社会制度の問題に展開するなり、掘り下げていくことになるでしょう。本書は、そういった裏取りや掘り下げがない点でジャーナリズム未満です。
社会学の世界には「エスノグラフィー」という便利な用語があるらしく、個別体験の記録であってもそれなりの価値が与えられるようです。しかし、学術的な価値の評価は専門家にお任せするとして、一般読者の目線からすれば、NHKスペシャルよりも浅いレポートにあまり面白さは感じません。
あとがきで著者が触れている「野生の思考」や「ハマータウン」は、未読ですが、この程度の代物なのでしょうか。
（そういえば、むかし「暴走族のエスノグラフィー」という本を図書館で読んだような気がします。それはもっと面白かったように覚えているのですが。）
文章もあまり上手ではありません。会話分析ではないので、対話をそのまま記録しても中身が薄いですし、その薄い対話をリフレインするだけの解説文もスカスカな印象を受けます。
良かった点は、ヤンキーの世界における先輩・後輩関係の重みが分かったことです。この辺りは、一般常識としても知っていることですし、関東連合関係者の告白本などにも読み取れることですが。
というわけで、★５つは違うだろう、というのが私の感想です。
（追記）
本書を読んで、未知の沖縄を知りたいと思った人は、なにかの縁だと思って、藤井誠二「沖縄アンダーグラウンド」講談社(2018)をあわせ読んでください。こちらはお勧めです。
33人のお客様がこれが役に立ったと考えています
12件中1 - 10件目のレビューを表示
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2019年4月6日
読書の効用とは、知らない世界を疑似体験できることにある。
そういった意味で、ヤンキーあがりの建設業者、風俗経営者、ヤミ業者の友人がいない人(私も)にとっては、彼らが生き抜いている世界を、安全に垣間見ることができる良書。
感想としては、調査対象者のほとんど全ての人が、人間関係を上下で捉えていることに衝撃を受けた。
年齢の上下、稼ぎの多寡、喧嘩の強さ、雇うか雇われるか、など。
こうした上下の世界観が、不健全な競争や恐怖心を助長し、DVを含む暴力に繋がっていると感じた。
逆に、彼らが真剣に自分の人生と向き合って、未来志向的な視点を得るかどうかを分けるのは、1人でも自分のことを一人前の人間として認めてくれる人がいるかどうか、だと思った。
そういった意味で、ヤンキーあがりの建設業者、風俗経営者、ヤミ業者の友人がいない人(私も)にとっては、彼らが生き抜いている世界を、安全に垣間見ることができる良書。
感想としては、調査対象者のほとんど全ての人が、人間関係を上下で捉えていることに衝撃を受けた。
年齢の上下、稼ぎの多寡、喧嘩の強さ、雇うか雇われるか、など。
こうした上下の世界観が、不健全な競争や恐怖心を助長し、DVを含む暴力に繋がっていると感じた。
逆に、彼らが真剣に自分の人生と向き合って、未来志向的な視点を得るかどうかを分けるのは、1人でも自分のことを一人前の人間として認めてくれる人がいるかどうか、だと思った。
2019年4月4日
あえてレビューするほどの本ではないと思ったが、他の読者から高評価が付いているので、それだけを見て誤解する人がでないように感想を記しておきます。
著者が面白い経験をしたこと、それには相当な労力を費やしていることは認めます。
しかし、本書に記録されているのは、著者の目に触れた限りの、断片的な経験です。しかも会話記録がメインで、あとはそれをなぞる短い説明が付されているだけです。
もしこれがジャーナリズム（調査報道）の世界なら、ここで登場人物が語っていることが真実なのか、裏をとる必要があります。また、学術研究だとしたら、個別事例を出発点として作業仮説を設定して他の事例を探すなり、社会制度の問題に展開するなり、掘り下げていくことになるでしょう。本書は、そういった裏取りや掘り下げがない点でジャーナリズム未満です。
社会学の世界には「エスノグラフィー」という便利な用語があるらしく、個別体験の記録であってもそれなりの価値が与えられるようです。しかし、学術的な価値の評価は専門家にお任せするとして、一般読者の目線からすれば、NHKスペシャルよりも浅いレポートにあまり面白さは感じません。
あとがきで著者が触れている「野生の思考」や「ハマータウン」は、未読ですが、この程度の代物なのでしょうか。
（そういえば、むかし「暴走族のエスノグラフィー」という本を図書館で読んだような気がします。それはもっと面白かったように覚えているのですが。）
文章もあまり上手ではありません。会話分析ではないので、対話をそのまま記録しても中身が薄いですし、その薄い対話をリフレインするだけの解説文もスカスカな印象を受けます。
良かった点は、ヤンキーの世界における先輩・後輩関係の重みが分かったことです。この辺りは、一般常識としても知っていることですし、関東連合関係者の告白本などにも読み取れることですが。
というわけで、★５つは違うだろう、というのが私の感想です。
（追記）
本書を読んで、未知の沖縄を知りたいと思った人は、なにかの縁だと思って、藤井誠二「沖縄アンダーグラウンド」講談社(2018)をあわせ読んでください。こちらはお勧めです。
著者が面白い経験をしたこと、それには相当な労力を費やしていることは認めます。
しかし、本書に記録されているのは、著者の目に触れた限りの、断片的な経験です。しかも会話記録がメインで、あとはそれをなぞる短い説明が付されているだけです。
もしこれがジャーナリズム（調査報道）の世界なら、ここで登場人物が語っていることが真実なのか、裏をとる必要があります。また、学術研究だとしたら、個別事例を出発点として作業仮説を設定して他の事例を探すなり、社会制度の問題に展開するなり、掘り下げていくことになるでしょう。本書は、そういった裏取りや掘り下げがない点でジャーナリズム未満です。
社会学の世界には「エスノグラフィー」という便利な用語があるらしく、個別体験の記録であってもそれなりの価値が与えられるようです。しかし、学術的な価値の評価は専門家にお任せするとして、一般読者の目線からすれば、NHKスペシャルよりも浅いレポートにあまり面白さは感じません。
あとがきで著者が触れている「野生の思考」や「ハマータウン」は、未読ですが、この程度の代物なのでしょうか。
（そういえば、むかし「暴走族のエスノグラフィー」という本を図書館で読んだような気がします。それはもっと面白かったように覚えているのですが。）
文章もあまり上手ではありません。会話分析ではないので、対話をそのまま記録しても中身が薄いですし、その薄い対話をリフレインするだけの解説文もスカスカな印象を受けます。
良かった点は、ヤンキーの世界における先輩・後輩関係の重みが分かったことです。この辺りは、一般常識としても知っていることですし、関東連合関係者の告白本などにも読み取れることですが。
というわけで、★５つは違うだろう、というのが私の感想です。
（追記）
本書を読んで、未知の沖縄を知りたいと思った人は、なにかの縁だと思って、藤井誠二「沖縄アンダーグラウンド」講談社(2018)をあわせ読んでください。こちらはお勧めです。
2019年4月15日
出版を心待ちにしていた。沖縄の暴走族や建設業などの底辺の若者の集団に、１０年にもわたって若手の社会学研究者が参与観察を続け、その成果をまとめたもので、昨今の報道がさらっとした上辺だけの調査で物事を論じてしまうのとは、本質において異なる。著者はパシリとして暴走族に加えてもらい、そこから徐々に人間関係を作っていく。そうしなければ本音を聞き出すことや理解することができないからだ。そこから見えてくるのは、沖縄の若者たちが構造的に嵌められている地獄のような抜け道のない世界である。「勉強しないやつが悪い」などという安直な自己責任論は、ものの見事にぶっ飛ぶだろう。著者は主に男の側から見える世界を記述しているが、同じ世界を女子の側から描いた上間陽子『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』（太田出版）を合わせて読むことを強く勧める。まるで合わせ鏡のように、彼ら彼女らの世界の全体像が浮かび上がるはずだ。（本書にも上間は登場する）
2019年3月28日
性愛と暴力がやりとりされる世界に侵入できる研究者なんてそういないと思います。
この研究者による、なぜ性愛と暴力なのか、という理屈バージョンも読んでみたい。
この研究者による、なぜ性愛と暴力なのか、という理屈バージョンも読んでみたい。
2019年5月24日
面白いです。２日で読了しました。人類学ではなく社会学のエスノグラフィーってどんな感じかと思いましたが、データを無理に解釈するのを避け、整理して提示することで読者の解釈に委ねる、という方法論を取っているようです。沖縄、家族や地元での人の繋がり、肉体労働など、この筆者でしかなし得なかった業績だと思います。余計なことを２つほど。以前外国の方に「日本にもハマータウンの野郎どものような本はあるのか」と聞かれて「うーん、知る限りないなあ」と答えたことがあるのですが、今度同じような質問をされたらこの本を挙げます。あと筆者はそれほどいいアカポスについていないみたいだけど、ぜひどこかでゼミを持ってもらって、次の研究者を育ててもらいたいと思います。
2019年4月8日
専門学校を頑張って卒業して資格を活かした正社員として就職したのに、先輩の政治的活動のパシリを並行して始め出し、ついには時間や活動資金の工面で身動き取れなくなって退職に追い込まれた職場の子がいた。上下関係の狭い社会しか知らずに育ってしまう環境てなんだろうと、この本読んで思い出した。
2019年6月24日
先輩と後輩という一生逆転することのない「年齢基準」のみによる上下関係。沖縄が特別なのか、日本中でありうることなのか判断基準は持ち合わせてはいないが、そこに飛び込んだ社会学者の「究極の文化人類学的フィールドワーク」は類がないほど刮目の書でした。
「沖縄の成人式はなぜ荒れるのか？」という疑問に対してほんの少し答えをもらった気がするし、「先輩が人格者なのか非人格者なのか？」という単なる偶然によって人生が大きく変わらざるを得ない若者たちが、この絆を断ち切る方法は、沖縄から出ていくことだけという解決法のシビアさ。しかも、専門的技能を身に着けているわけでもなく、低賃金でも雇用を最優先に考えるという現実。
退職や転職後の移住人気No.1など「楽園イメージ」とは正反対の構造を垣間見ることができました。
「沖縄の成人式はなぜ荒れるのか？」という疑問に対してほんの少し答えをもらった気がするし、「先輩が人格者なのか非人格者なのか？」という単なる偶然によって人生が大きく変わらざるを得ない若者たちが、この絆を断ち切る方法は、沖縄から出ていくことだけという解決法のシビアさ。しかも、専門的技能を身に着けているわけでもなく、低賃金でも雇用を最優先に考えるという現実。
退職や転職後の移住人気No.1など「楽園イメージ」とは正反対の構造を垣間見ることができました。
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