上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0POGユーザーのニーズ分け品評
2018年5月30日
POGユーザーが重視するスタイルに分け、各POG媒体を評価する試みです。
競合他誌にも同様の口コミを載せています。
今季は既にドラフト終了のところが多いと思われますが、【来季以降の媒体選びの参考として】ご利用下さい。
POG本の草分け、競馬ライター須田鷹雄が送り出す、元祖POG本と言えるシリーズ。
写真☆☆☆★★
カラーパドック347頭という数は、他誌と比べるとちょうど平均と言ったところ。可もなく不可もなく。とはいえ取材タイミングの関係か「この本にしか写真のない中々有力そうな馬」がいたりする。
リスト☆☆☆☆★
取材力の違いなのか、池江厩舎入厩予定馬が、POG本最高の32頭を網羅するなど、情報量が多い。記者数の多いまるごとPOGでも30頭。その他の本は20頭前後と比較するとかなりの数字。外国産リストアップにも力を入れている。
情報
☆☆☆★★
育成コメントなどの量は標準的であり、社台グループ有力馬についても非常にサラッとしたコメントのみとなっている。しかし須田氏が出演するグリーンチャンネルのPOGドラフト会議を観ることで、もう少し突っ込んだ話を知ることができる。
血統
☆☆★★★
他誌にも寄稿のある栗山氏、水上氏の記事があるが、量は少なめに留まっている。
戦術
☆☆★★★
この本は歴史ある草分けだけあって、毎年トレンドを狙って同じようなやり方で同じような勝ち負けをしても面白くなくない? という、一周したPOGゲーマーに向けた方針に推移しているため、なんなら、世間的な有力視された馬の指名ばかりにならないよう、ハンデ制を導入しようよ、という記事を作り始めているため、須田氏がまっとうな戦術とかは完全に飽きていると推察できる。
考え方は理解できるが、それをゲームに取り入れる集計的な手間やメンバー全員へのコンセンサス取得など、ハードルは高く、流通することはないだろうと思われる。
ただ、言い換えれば、その記事を読めば、数値的にどういった馬がトレンドとして有力なのかを逆算できなくはない。
外国産馬
☆☆☆★★
古き良き外国産馬隆盛時代からある、トレーニングセール取材を諦めず行っている点は素直に尊敬できる。経費で旅行できていいなとかではなく。
補足ポイント
☆☆☆☆☆
この本の一番の売りは、実は、POG情報としてというより、それを入り口として、競馬への理解を更に深めてもらおうという狙いが見える、育成所や厩舎、関係者、研究者などへの取材記事だと思う。一部、厩舎への取材は、競走馬育成への取り組み方の取材を行っていて、興味深い。
今回特筆すべきは、配合を科学的に研究し、遺伝子的な裏付けをもとに競馬に活かそうとしている印南氏への取材を行っている点。近年、競走馬の距離適性を測る指標となり始めている、筋肉量などを紐解くミオスタチン遺伝子の研究が進んでいるが、農業などと比べると配合の科学的アプローチがかなり遅れている競馬界の関係者はこのインタビューを興味深く読めることと思う。
寸評
単純にPOGを勝ちたいという人へのニーズとズレてきているところはあるが、言い換えれば、POGにとどまらない、更に深い競馬への興味を抱かせる内容を目指している点は、個人的に好みである。
追加でセブンイレブンネットプリントで、より新しいPOG情報を仕入れることが可能。とはいえ最近はそういう情報をタダで出すブログもあるが。