上位の批判的レビュー
5つ星のうち2.0さすがにこれはくどい
2017年9月10日に日本でレビュー済み
保坂氏の「小説の自由」シリーズを全部読み、小説のほうもデビュー作から順番に読んでいきついに代表作といわれる本作を読んでみたが、さすがにここまでいくと口説いというか、飽きる。主人公は完全に作者本人で、他の登場人物も他の作品で見たことがあるような人たちばかりで、図式的に役割が決められているように思えるし、保坂氏の考えをしゃべらせているだけという印象が強く感情移入させられないどころか、キャラクターとして魂がないとすら思えてくる。視覚や聴覚の動きについての描写があまりにもくどくて、小説としてもなんだか読むのがダルくなる。文章もお決まりパターンが繰り返されてて、ほんとに飽きる。「〜ということでは全然なくて、なんとかかんとか」、からの、「そんなことを考えていたら誰々がやってきて」、それで図式的な人物が不自然で抽象的な会話をしてるうちに保坂氏が世界に対する疑問や発見を逐一語っていく。一応小説なんだろうけど、だんだん小説に思えなくなってくる。保坂氏の住みなれた鎌倉や世田谷、そして猫がお約束のように出てくるのはいつものことなんだけど、これってもうただ自分の話をしてるだけで、創作って感じがない。だから小説を読んでるというより、保坂氏の人生の話を無理やり小説したという感じがして、小説を読んでるときに感じる大事な何かが、リアリティがない。かといってノンフィクションでもないし、その中途半端さに不穏な気持ちにすらなる。保坂氏が住んでいた山梨と世田谷の話は他の作品でもさんざん読んでいるため、どうしても連想するものがあり、変な味付けの丼という感じ。これは野暮ったらしいい、ダメだ、と思ってしまった。この作品を読むまではほんとにハマってたのに、いきなり猛烈に飽きた。本作が面白かったら「未明の闘争」を読もうと思ってたけど、やめた。