上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0感想
2016年6月23日に日本でレビュー済み
テレビを一切見なくなって4,5年たつ。その間にフジテレビはみるみるうちに転落し、いまや往時の面影はみじんもない。正直全く番組を視聴してない身としては、今のフジが本当につまらないのかそうでないのかわからないし、それほど興味もない。
といいつつこんな本を買って読んでしまうのは、やっぱり往年の「フジテレビ」という存在に相応の思い入れがあるからだ。そのむかしテレビっ子だったころ、テレビといえばフジテレビだったし、子供時代に「ひょうきん族」や「いいとも」を観ていたことは、幸せな記憶としてすっかり定着してしまっている。
フジの元社員が書いたというこの本。全盛期の80年代から現在までの流れと、社内外の状況の移り変わりを描いていく。いったいフジテレビの何が変わったのか。著者は大きなターニングポイントして、お台場新社屋への移転をあげる。それを機に、社内の一体感や庶民感覚をなくしてしまった、と。
それはそれなりに説得力があるし、実際大きな要因の一つかもしれない。でも結局著者が挙げる凋落の最大の理由は、「80年代と寝すぎた」ことだ。あの時代にあまりにも寄り添いすぎてしまったため、その後もいまだに80年代から抜け出せずにいる、と。実際視聴者としても、あの時代のフジが焼き付いてしまっていて、とっくに時代が変わっているのにそのイメージをずっとひきずっていた。本当に「あのフジテレビ」が終わったことにやっと気付いたのは、「ごっつええ感じ」が終わって数年たったころだった。
正直読み物としてはそんなに読み応えはない。今までさんざん言われてきたことと内容はそんなにかわらない。当事者としてそのときどきの実感が語られているのが、多少興味深いくらいだ。突っ込みも浅く感じる。
その昔フジは「その時代の一番面白い事」を見せてくれる局だった。「その時代」はおもに80年代だったが、もしフジが復活することがあるなら、2010年代の今の面白さを伝えるべきで、間違っても栄光の時代の焼き直し番組ではない。
復活しても別に見る気はないんですけど。