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カスタマーレビュー

5つ星のうち4.6
25
個人的な体験 (新潮文庫 お 9-10)
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2017年7月22日
 脳髄に異常のある愛児をめぐる父親《鳥》の物語だ。
 大江文學としては非常にわかりやすい構造である。
《個人的な体験》という言葉は、元来、基督教の用語のようで、天使のすがたをみたり、聖母マリアの聲をきいたりする、というような、科学的には実証不可能だが、《個人的にはたしかにおこった奇蹟》のことを意味するようだ。本作では、脳髄に異常をもって誕生した我が子の生死について父親である《鳥=バード》という渾名の主人公が四苦八苦したすえに、ハッピーエンドをむかえるまでの心理劇である。あきらかに、脳髄に障碍をもった子供とは、大江氏の愛息である光君の隠喩であり、畢竟、本作は疑似私小説として――三島由紀夫が『仮面の告白』で疑似私小説を執筆したように――、また、主人公と愛児にもたらされる奇蹟として、二重の意味での《個人的な体験》となっている。
 さきにのべたとおり、本作は見事なハッピーエンドである。《ハッピーエンドにこそふかみがある》と執筆したのは古井由吉氏だったとおもうが、発表爾時、本作の《ハッピーエンド》の部分は賛否両論をまきおこした。三島由紀夫が《喜劇におわらせれば辻褄があうというような安易な結末》などというように評論していたことを記憶している。たしかに《あとがき》で大江氏自身が披瀝しているように、《あの結末》を削除しても物語は成立したはずだ。問題は序盤にも登場した不良少年たちが此処でも登場することである。序盤、暴力をもって不良少年たちに敗北した主人公は――此処の描写は流石、大江氏らしい見事なものである――、結末において、暴力をもちいずに少年たちに勝利したことを認識する。いまだに暴力に依存している不良少年たちが疵付いているのと対照的に、主人公は自身の精神にも愛児の肉体にも健康をとりもどしている。中盤で、当時――冷戦時代か――のソ連による核実験の記述があったはずだが、大江氏の描破する主人公の暴力にたよらない幸福という《勝利》は、人類レベルでの非暴力による問題の解決をうながしているのではないか。そんなことが可能ならば、それこそ人類にとっての《個人的な体験》になるのかもしれない。
 大江氏の愛息光君は鳥の聲をききわけられた。
 本作の愛児も父親《鳥》の聲により奇蹟をおこしたのかもしれない。
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2017年9月15日
主人公の名「バード」というのはチャーリー・パーカーの仇名から取ったんだろうけど、実際、パーカーとかマイルス・デイビスなどのモダンジャズが似合いそうな作品。映画化するなら彼らの曲を是非とも使用してほしい。作中で描写されるレモンとかグレープフルーツが、蛍光塗料でも塗ったかのように光って薄暗い背景から浮かび上がって見えてくるように感じられる。ラリッて書いたのか?
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2016年9月4日
痺れました!
圧倒的な筆力で、障害もって生まれてきた子供に対する正直な感情が描かれていました。
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2010年1月29日
大江先生が芥川賞から次つぎへと賞を受賞され、ついにはノーベル文学賞
までに至った経緯の中で、非常に重要な作品だと思います。
読書離れをして、携帯ばかりいじっているような世の中で、色んな意味で、
この本を読んでほしいと拙に願います。

ただ、本の好みはありますが、中には読書を中断してしまう人もいるでしょうが
それは、文学というものの世界観になじめていない人であろうし、また一方で
純粋に毛嫌いする人もいるかもしれません。

私的な感想を述べますと非常に大江文学の中で読みやすい本です。
是非ともチャレンジしてもらいたいものです。
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2015年8月6日
『個人的な体験』は、大江健三郎の代表作です。頭に障害のある息子を授かった主人公・鳥(バード)の絶望的な体験が、迫力ある文体で綴られています。文章が読みやすいので、ふだん純文学を読まない方でも面白く読めると思います。
アフリカ旅行を夢見る鳥は生まれた赤ん坊の存在を忌まわしく思い、息子が赤ん坊のうちに死ぬことを願います。障害児の出生に立ち会った夢見る男の本音が、きれいごとは抜きで告白されています。鳥が息子の誕生を歓迎せず、ひたすら息子を恐怖の対象としてとらえているのは衝撃的でした。

『個人的な体験』という題名のとおり、この小説では不幸な事態に遭遇した個人の体験に焦点が当てられています。あくまでも自分自身で折り合いを付けなければならない個人的な問題と格闘する大江氏の姿勢には圧倒されました。不幸な立場に陥った鳥に「忍耐」を強いた結末には賛否両論あるそうですが、現実の厳しさを耐え抜くことを教える形できれいに風呂敷が畳まれていると思いました。
大江氏の他の小説にも言えることですが、この小説は現実逃避のためのフィクションというよりは現実に立ち向かうためのフィクションだと私は思いました。読者を現実離れした気晴らしに誘うフィクションではなく、読者に過酷な現実を生き抜くよう導くフィクションの力を思い知らされました。
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2014年2月10日
さすが大江健三郎氏の小説と言った感じで一気に読みました。普段大江氏の小説は読まないのですがこれは良かったです。
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2017年10月26日
初の大江長編。文章が、ゴキゴキ音が鳴りそうな、クセの強い形をしてる。チラッと読むには苦しいけれど次第に病みつきになっていく。ストーリーとしても、アスタリスクの後の展開は悪くないと思う。ただ、他の大江作品と比べるとそれほど大江らしさがないのが減点。
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VINEメンバー2007年12月5日
大江健三郎の長編小説を読むのはこれが初めてであり、
色々と新鮮な驚きを感じながら読んだ。
一般によく言われているように、技巧を凝らした文章で、やや読みにくいのは確か。
翻訳っぽい文体やストレートな性描写は、その後の村上春樹あたりに影響を与えているかも知れない。
障害を持って生れた子供から逃げ出すことばかり考える主人公に共感出来ないという意見もある様だが、
男というものは生まれたばかりの子供に対しては意外と実感が持てない物であり、
主人公のこの様な態度は非常に良く理解出来る。
主人公の渾名である「バード」とは、「チキン」つまり臆病者を暗示しているのではないかと私は思うのだが、どうだろうか?
最後の場面で、義父から「きみにはもう、バードという渾名は似合わない」
と言われる所は「きみはもう、逃げてばかりいる臆病者ではない」と解釈できる。
火見子が語る「多元的な宇宙」は、とても興味深い世界観であり、
また物語の中でも伏線としてうまく活かされている。
はじめて大江健三郎を読もうと考えている人にお薦めの一冊。
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2016年12月25日
"Sooner murder an infant in its cradle than nurse unacted desires"- Willam Blake
本作にでてきた、印象深い一節です。

脳に腫瘍のある子どもを見捨てるか、
それとも≪共存≫の道へと歩み出るか。

ぼくは、この本にでてくる、いくつかのブレイクの詩の引用が、この小説の世界を膨らませているように思えるのです。
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VINEメンバー2003年8月31日
大昔、初めて読んだときの印象は忘れてしまったが、今回読み直してみてエネルギーに溢れた作品だと思った。
絶望的な状況で逃避してしまい、自分の立場を悪くしてしまう主人公。しかも読んでいる自分でも解決策が浮かばない。ますます悪化していく状況に主人公はどう立ち向かうのか、そもそも立ち向かうことができるのか否か・・・。
新潮文庫版の作者によるあとがきでは作品の終わり方を巡る意見に対して反論が書かれている。自己弁護する内容なのだが、これがまた読み応えがある。たしかに両者の言い分はそれぞれ一理ある。本編読後の大きな楽しみだ。
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