上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0退廃的な90年代の空気を持った作品
2024年7月13日に日本でレビュー済み
悪魔や魔人という異形が跋扈する日本が舞台の作品。
悪魔が出るからといってファンタジーな雰囲気ではなく、現実的な人間社会に悪魔がおり、人々を殺す。
その対抗手段として公安や民間のデビルハンターという存在があり、主人公デンジは特殊な経緯で公安の一員となる。
時代設定は1990年代と思われる。
薄汚い路地裏から賑わいのある街まで、力強いなタッチでありながら場所の持つ空気までも丁寧に描かれており、それにより悪魔という非現実的な存在が一層際立っている。
漫画では寄生獣。ゲームでは女神転生や異聞録ペルソナに近い雰囲気だと感じた。
私自身この時代に生まれ、幼少期を過ごしたため、この作品の持つ雰囲気に懐かしさを覚えた。
人々の服装、街並み――そしてこの時代の空気。
過ぎ去った時代を実に生々しく描いている。
この漫画の世界の人々は、日常的に悪魔に殺されるかもしれないという恐怖を持っており、暗い作風になりそうなものの、幼い頃に多額の借金を残し亡くなった父のせいでヤクザに使われ、義務教育も受けずに育ったデンジという主人公の邪な欲望への忠実さ、非常識な振る舞いによってもたらされるギャグが良い塩梅に入っており、明るすぎず暗すぎずバランスが取れている。
第一部を読み終えてまた一巻を読むと、既に物語の重要な伏線が張られている事が分かり、極めて計算されて作られた物語である事が分かる。
漫画を読まなくなって十数年、最近の現代を舞台にした作品や、読むに値しない素人小説の漫画に嫌悪感を抱いていたが、このような稀有な漫画が世に出た事を嬉しく思う。