上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0ライトは阿良々木暦が過去に沈み、フライトは千石撫子がこれから活躍する印象の裏表のエピソード
2020年11月22日に日本でレビュー済み
おうぎライトとおうぎフライトの二本立てです。どちらも同じタイミングで起きた事件で、ライトは阿良々木暦、フライトは千石撫子が主人公です。そしてどちらもそれぞれの過去と向かいあい、今起きている怪異現象を解決します。とはいっても阿良々木暦は吸血鬼の力は使えないので落としどころは限られる。そのうえ、阿良々木暦の過去のあれこれとなると戦場ヶ原ひたぎとの出会い、あのホッチキスの一件から、老倉そだちとのすれ違いとか、謝る謝られるのはなしでは済まない関係が山盛りになる。その分、話が長く、冗長だ。もともと言葉遊びの長いイントロが持ち味の一つだが、食飼命日子の相談から入るとあまりなじみのないキャラだけに入っていけない。もちろん、モンスターシーズンで登場したエピソードは読んでいるが、ほかのキャラと比べればエキストラ並の存在感だ。そのキャラがしゃべり続けるのを追うのは気乗りしない。実際、戦場ヶ原ひたぎの場面は楽しく読めた。老倉そだちに至ってはセリフが少なすぎて物悲しくなった。彼女の罵倒にしか見えない謝罪なんてレアなものを一ページに満たない紙幅でまとめるなんてと思う。
一方で千石撫子のエピソード、フライトは同じような過去が今に響いている話だが、彼女が能動的に解決するので読んでいて感情移入しやすい。ありていに言ってはるかに面白い。それも蛇のエピソードのその後と漫画家への志望と臥煙家の家庭事情と意外なほど情報が多い。こちらはそれこぞ、物語シリーズから独立させて方がいいのではと思う。
ライトは阿良々木暦がこのシリーズでは過去に沈み、フライトは千石撫子がこれから活躍する印象を持った。これが作者の主役交代のアナウンスなのかどうかはまだまだ分からない。でも、もう、その方が良い。