上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0面白くなってきました
2018年5月9日に日本でレビュー済み
現在アニメも放送中の本作。漫画もアニメも山田正紀氏の小説が原作となっている。が、甲賀五宝連と伊賀五花撰が協力して成尋衆と戦うという大筋は同じだが、原作も含めそれぞれのメディアでかなり展開が異なっている。
漫画版では2巻から成尋衆との戦いに入っている。2巻を読んだときはえらく展開が早いなと思ったものだが、アニメのペースの遅さを考えると、これはこれで正解ではないだろうかと思う。
前作ではある場面で猛威を奮った能力・術者が、別の場面では異なる能力・術者にあっさり倒されるという場面が多々あり、絶対無比な強力な能力というものはなかった。そこが面白さに大きく関わっていたと思う。が、今回は、伊賀甲賀というふたつの流派が手を組み、成尋衆というひとつの敵に立ち向かうという構図からか、敵の能力が強力なものに設定されている。戦闘も、これまでの主なものは伊賀甲賀の2人組対成尋衆1人という形で描かれている。故に、今作の戦闘は、能力同士の相克を楽しむというものではなく、「強大な敵をいかにして攻略するか」という方向性になっている。
この3巻では甲賀・蜩七弦、伊賀・涙と成尋衆・涅哩底王の戦いがメインになっている。
剣技を鍛え、強さこそが全てと考える蜩七弦。忍者らしい技や術は持ち合わせていないが、体液の全てが猛毒となる体質の涙。それに対する涅哩底王の能力はガーゴイルやリヴァイアサンなどの魔物を呼び出す「魔獣召喚」という、ある意味最も現実離れしたものである。
この「魔獣召喚」には違和感を覚えた方も多いのではないだろうか。
なにかどうも書いていてネガティブな方向に行ってしまいがちになるが、この3巻はこれまでの巻の中ではいちばん面白かったように思う。
七弦のキャラはシンプルに格好良く、涅哩底王はいきなりのキャストオフ。前作の如月左衛門もびっくりの変身っぷりだ。その正体で涅哩底王が西洋の魔物を召還していた理由も納得…かもしれない。
さて、前作を読んでいた人にはどうにも無理があると思わざるを得ない八郎と響の存在であるが、漫画版はこのことにも今後踏み込んでいくようでそこは楽しみに思う。
3巻のラストでは、未来を見通す能力「宿命通」を持つ、成尋衆・夜叉至に対峙する甲賀・碁石才蔵、伊賀・現の姿が描かれる。情報を制する者が戦いを支配すると考える才蔵。才蔵は幾千もの手を考え、勝ちに至る道を探る。しかしどうやっても勝ち目はないと悟った才蔵は、夜叉至にひとつの賭けを持ち掛ける。圧倒的不利な状況だが、才蔵の顔には現曰く、「すべてが思い通りに事が進んでいる時に見せる笑顔」が浮かんでおり…
この才蔵の笑顔がなかなかいい感じの嫌な笑顔に思う(変な言い方で申し訳ないが)。才蔵はもともと好きなキャラだったので、次巻の活躍を楽しみにしたい。