上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0合う合わないで大きく分かれる作品
2024年4月20日に日本でレビュー済み
※ネタバレありです。
自分はアニメから入ったので、カラーなのもあってキャラがまだ分かりやすかったのですが漫画のモノクロだと、顔や体型が似ているキャラが多い、ぱっとしない為分かり辛く感じました。
人型の宝石の国、と言うのは魅力的なものの漫画では上記から視覚での魅力は半減しています。
仏教のような死後の話、スピリチュアル的なものも多く、1巻だと急に月人と言う宝石を襲って拐う謎の集団とそれを撃退する宝石の戦闘シーンがありますが、定期的に襲ってくる化け物がいる、と言う認識の独特の世界観となります。
毎話続く怒涛の戦闘ラッシュの描きかたも個性的ですし、宝石達の出自以外説明もなく物語内で話が進んでいくのでこの辺り合う合わないあると思います。
物語後半で一気に謎が解明されるので始めの内はふわっと認識で流す方がいいかと。
レビューに美しい、とありましたが宝石部分の上辺は綺麗なのですが私的にはとても泥臭く、人間のエゴや稚拙な醜さを描いた作品だと思いました。
アニメを見ている時から主人公であるフォスフォフィライトの独り善がりで身勝手な行動を好きになれなかったのは、根本にあるそう言ったものが既に透けて見えていたからなのだと後半を見ていて分かりました。能力が増えても愚かさが目立って痛々しい。
仲間が大事なのは本当だったはずなのに、いつの間にか能力に溺れ、自分の掲げた目的と履き違えた手段の為だけに動く化物と化してしまったフォスはある意味後で戻せば何をやっても許されると思っている駄々っ子の小さな子供と同じです。そして全てを失い代償を支払い特別な存在となりますが、結局根っこにあったものは承認欲求だったのが分かるのもまた人間らしさでした。
利用された部分も確かにあるにはありますが、彼がいつでも引き返せたのに、と悔いたようにいくつもある選択肢でこの道を選んだのは彼自身なのでただただ可哀想かと言えばそうではありません。
実際、一緒に月に行った仲間は戦い以外の視野を広げていましたし、地上に残った仲間は話し合いも出来ない襲ってくる敵(裏切り者)から身を守る為に戦ったまでなのでフォスを憎んでたかと言うと違います。
先に仲間への裏切り行為、被害妄想からの焦り、後先を考えず攻撃をしたのは彼なのですから。
仲間達にとって、最後に会った彼はもう元のフォスフォフィライトではなく化物と化した襲撃者でしかなかったと思います。
それでも彼を気に掛ける仲間もいたのはまだ良かったのではないでしょうか。一万年の間を幸せに過ごした仲間を責める事は出来ません。やりようによれば、フォスもそうなってたかもしれないので。
ただ話の途中途中、うん?と引っかかる部分はありました。例えばユークが月人になるかどうか問われた際にそれで戦争が終わるならと答えるシーンがあるんですが、既に宝石を絡めた戦争をする必要がなくなっている時期なのに何故?等。
なんだかんだと書きましたが話としては纏まっていて、描きたい事伝えたい事は分かる作品でした。ただ、綺麗なだけじゃない。無情さや醜さや、そんな中から最後には光る宝石のような何気ない小さな幸せを見つけて拾いあげるような話です。
私的には金剛のお兄ちゃんが意外と悪いやつでなくヤンチャなだけでいいキャラしていて好きでした。特別な存在になったフォスに、彼や石の子達がいてくれて良かった。