上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0ジョン・スチュアート・ベルと量子再革命の時代
2017年3月31日に日本でレビュー済み
現代物理学の話をするのに、アインシュタインと量子革命の群像の話をするのは避けて通れない。とにかく、二十世紀初頭の話は今後も何度となく繰り返し語り継がれていくことだろう。最新の状況をポピュラーに扱っているかのような本書ですら、そのちょうど半分が前世紀前半の記述に費やされている。これは高校の物理学の教科書の最終章を科学史としてお浚いするようなものである。
対して、後半はちょっと前までは実は聴かなかったことである。教科書にも載っていないことかもしれない。量子論、量子技術の観測問題に関わる異才ジョン・ベルを主人公とする、それは埋もれてしまうかもしれなかった発見とその進展の歴史だからだ。一回目の量子革命が1913年か1927年までには誰が見ても完全に起こっていたとしたら、二回目の再革命は1964年に誰にも気づかれない内に起こっていたのである。
ここに、量子電磁気学や弦理論に関わる統一理論への成果は一切紹介されていない。将来、ここで扱われた実験、検証に関わる著しい成果が、純理論の同様に著しい進展と如何に結び付いて行くのかもまた興味の尽きないことである。