上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0GA文庫時代からの読者にとっても、価値ある改訂版
2015年9月25日に日本でレビュー済み
「GA文庫から富士見ファンタジア文庫にレーベル移籍をするにあたり、富士見ファンタジア文庫から第一巻から第十巻までと外伝一巻を出しました」と書ければ、非常に簡単だったのですが、うれしいことにそうはなりませんでした。
まずは、初めてこのシリーズを手にする方へ。
「『信長○野望』が大好きな現代人のちょっとエロい主人公が、タイムスリップして戦国時代にきてしまったら、有名武将のほとんどが女の子というパラレルワールドでした」というのが、コンセプトです。
この時点で、受け付けないというのであれば、手をつけない方がいいと思います。
ざっくりと要約すると、ゲームで覚えた程度のつたない知識と、度胸と、やさしさで、不思議な戦国ワールドで自分の居場所を築きつつ、織田信長の役回りである織田信奈が道を踏み外さないように一緒に歩いて行く物語です。
こう書いてしまうと、よくあるドタバタファンタジーのように受け取られてしまいますが、かなり深い歴史知識を元に、うまく歴史IFを転がしています。
桶狭間の戦い正面撃破説と言って、ピンと来る人は、とりあえずこの巻だけでも読んでみるといいのではないでしょうか。
歴史マニア、歴史小説・時代小説マニアの心の琴線に触れるネタがちりばめられており、一人でニタニタ楽しむもよし、同好の士と元ネタについて語り合うもよしですね。
これまでGA文庫で本編全10巻と外伝1巻が発売されたところ、近年富士見ファンタジア文庫に移籍しました。
そこでいきなり11巻から刊行という離れ業をやってのけましたが、どうもその間に既刊11巻を改稿していたようです。
第一巻のあとがきで、著者が改稿に至る経緯を書いていますが、基本ルールとして、GA文庫版と富士見ファンタジア文庫版は各巻でそれぞれ内容が対応しています。
これについては、私自身は4巻まで実際に読んで確認しています。
GA文庫版からでも、富士見ファンタジア文庫版からでも、きれいに11巻につながるようになっているのは、非常にありがたい仕様ですね。
なお、あとがきには、改訂版がでる経緯や、GA文庫版のシリーズ初期のあの珍妙な文体の原因等が色々書かれているので、既存読者も一巻のあとがきのためにお布施してもいいのではないかと思いますよ?
さて、GA文庫版のシリーズ初期は文体等も相まって、何度も繰り返し読むのが非常に苦痛でした。
「ストーリーがおもしろいだけに「書き手の能力不足」で残念。是非改訂版を」という声は、GA文庫版のレビューで多く聞かれましたので、読者共通の思いだったと思います。
この改訂版ですが、最近よく見かける「誤字脱字等を修正した」などといったものではなく、本当に丸ごと改稿されていました。
現在、4巻までチェックしていますが、見事な改訂ぶりです。
はじめからこの文章で出してくれればと思ってしまうのですが、それができなかった事情については、作者自身のあとがきでの説明で一応納得しました。
(それは言訳だろうという感想を抱く人もいるだろうなぁとは思いますが)
GA文庫で全巻買っていることもあり、正直富士見ファンタジア文庫移籍後の改訂版についてはやや疑り深く見ていたのですが、正直脱帽です。
これだけの労力をかけて改稿しているのであれば、私は作者に「よくやってくだされた!!!」と言いたいです。
ボリュームアップ、クォリティーアップと、レーベル移籍という点を考えれば、この価格でもやむを得ないでしょう。
3巻まで読み終えた時点で、まとめ買いしてしまいました。(まったり読み進める予定です)
作者のがんばりと富士見ファンタジア文庫の英断に、感謝です。
なお、ある意味作者のわがままで行われた改稿のためか、イラストについては、1巻の表紙が差し替わっている以外、変更はないようです。
これは、非常に残念ではあるのですが、イラストレイターの労力を考えると致し方ないことかと思います。(それよりもイラストが1枚もない巻があることの方が大問題かと(今回のテーマの10巻までの話ではないですよ?))