上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0彼我の状況の相対化と根源的な叫び❗️
2019年10月28日に日本でレビュー済み
物事に絶対と言うことはあり得ません。少なくとも100%の悪と言うことはありえないのではないかと思っています。
この巻は、相手となるモンゴルとその下で苦闘する高麗の事も描いています。これがこの漫画の凄いところです。物事に絶対と言う事はない、それぞれの側にはそれぞれの事情があり、それぞれの主張がある、世の中の出来事はそのような見方をしなければ、感情に任せた負のスパイラルに陥ると言うことをこれらのエピソードで描かれています。
さらに、島出身の武士達が、主人公に『何故縁も所縁もないこの地で命をかけて戦うのか』という根源的な問いを発します。
このエピソードは極めて重いのです。率いられる者は、率いる者の本質を見抜きます。今までは主人公の悪魔的な戦闘力に魅せられていた島の武士ですが、追い詰められた状況下では、そのようなレベルでは通用しなくなります。
そこで自分達のリーダーにより大きな信仰の対象になり得る大きなものを求めます。その想いに対する主人公の解答…。
死ぬのは普通の人間は嫌です。「自分の死に何らかの意義を求めたい!」そのような問に対する答えを描いているのです。
この巻はややもすれば勧善懲悪のような言葉に代表される状況に物語が陥ることを防いでいます。この漫画に欠くべからざる巻だと思います。