上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0PVのような小説
2014年9月15日に日本でレビュー済み
TYPE-MOONのゲーム、Fate/staynightの原点となる、Fate/prototypeの小説化です。
Prototype自体はゲーム化されていないものの、その商品化されたstaynightを知っていれば
類推出来る部分は多々あり、且つその差異に謎を感じ、期待出来る内容だと思います。
文章は綺麗と言えば綺麗ですが、少し情緒過多な印象が有りました。
ですが、メインどころが幼き少女二人ともなれば、雰囲気は合っているのかなと。
イラストも凄く綺麗です。中の挿絵まで総カラー。巻末に収録された
ショートコミックはモノクロですが、武内さんの画風も感じられつつ、それよりも
柔らかでふんわりとした感触のイラストは、この物語に凄く合っていると思いました。
ただ、話の視点が細切れに変わり、諸々の場面が寸止め状態で次々と切り替わっていく
印象が強くて煩わしさを感じました。謎は振り撒かれ、明らかに続くことを前提とした
描写はプロローグで一冊使い切ったという印象です。
最初のうちは、綾香の一人称、神視点とも渾然としたようなセイバーの一人称、
純然たる三人称の描写など、忙しなく変化する描写に慌ただし過ぎる思いがしました。
後書きを読んで知ったのですが、月刊誌に連載されていたものを纏めたようですね。
フラグメンツ(断片)という表現で、ようやく得心がいったものです。
何か近い印象があるよな、と考えていたら、プロモーションビデオに思い至りました。
Fateをすでに知っている方に向けたプロトタイプのPVを小説で見たように感じられます。
全体を貫くナレーションのようなストーリーの合間に、印象的な場面をダイジェストで挟む。
ただ、それが過多なほどに回答を得られないシーンばかりで少し消化不良の印象が残りました。
いずれにせよ、Fate既知の方には期待と共に喜んで受け入れられる本作だとは思いましたが、
知らなければ、これを入り口とするには説明も足りず、ハードルが高いだろうと感じられました。