上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0サプリメントのタイトルは『ダブルクロス The Another Edition クロウリングケイオス』
2021年4月29日に日本でレビュー済み
【総評】
いつもの「データ! 戦闘! 格好いいRP!」って感じのダブルクロスではないです。
DX3rdの新ステージではなく、DX3rdを突然変異させた別バージョンとして遊ぶ分には楽しいシステムかと思います。
ルールやデータについてかなりの不備があるように思われるので、GMとPLはフィーリングを求められます。気心知れた仲間内でしっかりと合意形成しながら遊ぶなら、ホラーを十分に楽しめるシステムでした。
読み物としてはとても面白いですが、ルールブックとしては読みにくい代物です。
エラッタやFAQ、ステージの追加サプリ等の将来性も加味して☆3とします。
以下、個人的に感じた良い点と悪い点を並べていきます。
【良い点】
・クトゥルフ神話の世界観でオーヴァードをプレイする背景はしっかりしている
・人間からも神話生物からも裏切者扱いされるというのはダブルクロスっぽくて大変好み
・『シルバーキーカード』『ラピッドブレイク』『探索イベント(ロケーション)』等、使い勝手が良い上に通常ステージにも導入したい
・登場侵蝕値が固定となったため、通常ステージよりも多くのシーンを設定してシナリオをプレイできる
・新シンドロームの『アザトース』、エフェクトは効果が強いものばかりでステージ専用シンドロームとしてはかなり優秀
・シンドロームのルーツを決定する表があるのは新鮮で、キャラクター作成に楽しみが増えた
・装甲値や戦闘以外の技能などがバッドシティまでの環境よりも重要になっている
・シナリオの舞台となるD市について、詳しく設定されているため読んでいるだけで楽しい
・サンプルキャラクターの『墜ちた女神』が可愛い、特にアザトースシンドローム紹介ページ
・公式NPCに基本や上級に名前だけ出てきた人が登場しており、嬉しさを感じる
・公式NPCが魅力的でフレーバーテキストを読むだけで楽しい、三室戸ちゃんめっちゃ好き
・エネミーパークという新しい概念が追加され、SRSのようなエネミー作成ができる
・魔術という新しい処理が追加され、シナリオフックとして優秀
・魔導書に過去のリプレイキャラクターの名前が出てきており、嬉しさを感じる
・神格について、クトゥルフ神話TRPGのルールブックよりも分かりやすくまとまっている
・全体通してイラストが素敵
・公式HPに載っている『誰もいない駅のはなし』はCRC入門に最適、内容も大変すばらしく新ルールを遊び倒すことができた
【悪い点】
・「GMは格別の慈悲をもって」、「コントロールできると考えるのは人間の傲慢である」(原文ママ)等、ルールブックの記述が全体通して冗長かつ高圧的
・『ホラーとしてのダブルクロス』の部分が、長い尺を割いたお気持ち表明になっている
・侵蝕値の上昇タイミング等で基本ルールブックとの齟齬が発生している
・侵蝕値の誤りや射程の問題など、サンプルキャラクターに構成とデータ上の不備がある
・使用時の侵蝕値上昇が低いわりに係数が高いものが多いため『アザトース』一強すぎる、ハヌマーンやウロボロスの比じゃない
・<此処より永遠に>+<冒涜的存在>や<星間飛行>は禁止カードの域
・エフェクト効果文に『ドッジに失敗するかガードしたとき』等の新しい記述が散見される、統一してほしい
・エネミーデータについて、攻撃の対象拡大や装甲値無視などの特殊効果が、エフェクト依存ではなくエネミーの個性であるため、データ上の説得力に欠ける
・神格のエネミーデータが存在しているため、だいたいデータをそのまま使うと封殺可能
・読めば推察できるが、魔術における『印形』等の種別について定義がないのは不備だと思われる
・読めば推察できるが、『場面(選択)』『探索者』等の用語がDX3rdで定義されていないのは不備だと思われる
・読めば推察できるが、『兵器』等の新しいエネミー種別がエフェクトデータに突然生えてくるのは不備だと思われる
・読めば推察できるが、基本ルルブの対ワーディングマスクが作中で最強のアイテムになっているのは不備だと思われる
・読めば推測できるが、同名魔術の効果が重複するのか否か、定義されていないのは不備だと思われる
・読めば推察できるレベルの不備に溢れているため、純粋に読むのが大変
・魔術データである<見えざる鎧>と<炎の弾丸>、係数に技能を参照するのに上限が設定されていないため、最強のデータとなっている
・読み手によって十人十色の解釈が生まれる余地がありすぎるのは、共通観念をGM含めたプレイヤーに提供すべきルールブックとして微妙
・公安の第零機動捜査隊等、NPCに関わる組織の説明が世界観や神格の説明に比べて不足している
・サンプルシナリオの1本目はGMとPLに慣れが必要、初心者GMには向いていない
・サンプルシナリオのエネミーデータとサンプルキャラクターの相性が良くないのはよろしくない
・アザトースシンドロームを使ったサンプルエネミーやサンプルキャラクターがもう少し欲しかった
【追記】(2021/05/31)
エラッタとFAQが出たので追記です。
アザトースエフェクトにバランス調整が入って、そこまでバランスブレイクしているって感じではなくなりました。強いけれども。あと魔術のデータにも色々手が入って、炎の弾丸が大幅弱体化しました。しょうがない。個人的には良いアップデートだと思いました。
ただ個人的に残念だったのはサンプルキャラクターから竜鱗が消えてしまったこと。サンプルシナリオとの相性もあってとても好きな構成でした。もっと消すもんあっただろうと思わなくもないですが元々経験点オーバーだからまぁ仕方ない。「ニャラルトホテプ」が誤字だったのには笑いました。評価は☆2.5、端数切り上げで☆3のままです。