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5つ星のうち4.5
21
新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)
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2016年5月7日
年功序列、終身(長期)雇用、企業別組合が、日本型雇用制度の三種の神器といわれていることは、誰でも知っている。

この日本型雇用システムの本質は、職務に基づいて採用し、評価する、職務給制度ではなく、職務遂行能力を資格化した「職能給制度」にあると喝破している。

この本質をベースに、今まで、バラバラに頭に入っていた色々な事象が、根は一つなのだということが理解できる。
取り扱っている社会事象は非常に幅広く、かつ一つ一つの事象についての考察はとても深い。
そういった意味で、レベルとしては啓蒙書の域を凌駕しているが、説明は平易。  名著です。

以下、いくつかのテーマをご紹介します。
・非正規雇用は、高度経済成長期には、主婦のパートと学生アルバイト。 1990年代半ば以降、企業がリストラで採用を控えた為、正規社員になれなかった若者が増加。 いわゆるフリーター。 彼らが今中年にさしかかっており、生活が安定せず、社会問題となっている。
・日本型賃金システムは、若者の間は低賃金に甘んじ、会社に預金をし、それを家庭をもって中高年となった時期に高賃金を受け取って回収する仕組み。  長期間、同じ会社に勤務して公正がはかられるシステム。
・高度経済成長期では、女性は結婚で退社する前提。 勤務年数が短いため、補助的な業務を担当。 男女雇用均等法の施行後、この仕組みを法の精神に逆らわぬように置き換えたのが、「一般職」制度。

海外では、クラーク(事務的な提携作業を担当)とマネージャー(判断業務を担当)の区別はありますが、いづれも、男性も女性もいます。 一般職の業務はクラークの業務に近似しますが、構成員が女性だけというのは、非常に奇異に感じられました。
本書を読み、その生い立ちが理解できたと同時に、女性は生涯働く時代となった今、時代遅れの制度であることも理解できました。
未来の日本のため、変えていかなくてはなりませんが、そう容易ではないということも同時に理解できました。

このように、取り扱うテーマは非常に幅広く、かつ掘り下げは非常に深い名著です。
日本型の雇用制度の本質を理解されたいかたに、お勧めの一冊です。 
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2015年12月4日
大変素晴らしい内容だと思いました。 
今までの自分を振り返ってみて、働く事の意味が分かりました。
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2015年3月24日
リタイアして12年。現在の労働社会と雇用システムについて興味があって入手 若い人にアドバイスできればと思っています。
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2014年5月28日
この本で学んだこと、インスパイアされたことは数あるけれど、長期にわたって記憶に残ると思うのは冒頭にある次の趣旨の一節。

「私は、社会問題を論ずる際に、その現実適合性を担保してくれるものは、国際比較の観点と歴史的パースペクティブだと考えています。空間的、時間的な広がりの中で捉えることで、常識外れの議論に陥らずに済みます。」

労働問題に限らず、今後自分で論を立てようとするときに、このことを銘記しようと思いました。

労働問題に限らず、とても有益な本だと思います。
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2013年10月21日
この本は読んでおいた方が良い。
特に第4章の「職場からの産業民主主義の再構築」は必読。

非正規雇用社員が正規雇用社員には守ってもらえない中、いかに資本と闘い、「権利のための闘争」をするか、鼓舞するように書いてある。

僭越ではあるが、マルクスの代わりに言おう。
全国の労働者よ、団結せよ!
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2013年8月31日
 本書は、他の評者の方の評にもあるとおり、現代日本企業の雇用システムのありよう、つまり職務ではなく職能に基づく長期雇用を前提とした、云わばメンバーシップ契約なのだということを歴史的・国際的比較の中で把握し、現代生じている労働者の健康問題・非正規雇用の問題を解決するために、一企業の雇用だけを捉えるのではなく、社会総体としての構造という視野から見直すことを提示している良書である。
 著者の述べているように、雇用システムのありようを歴史的・国際的に捉える意義は、歴史的に捉えることで、どのような状況の中から現代日本企業の雇用システムが形成されてきたかを捉えられるし、国際的比較の中で捉えることで、どのような状況なら異なった選択肢を選択しうるかを検討することができる。
 現代日本企業に長期雇用を前提としたメンバーシップ契約型雇用システムが形成されたのは、もともと日本の教育システムが労働のための教育訓練制度として十分な機能を果たしていなかったために、企業としては入社後の企業内教育訓練制度に依拠せざるを得なかったという環境要因が基になっている、という点にその根源を求めている点は興味深い。このように、ある国の企業の雇用形態は、その企業だけ捉えるだけでは十分ではなく、歴史的・環境的に捉えて初めて根源的な理解に辿り着くという著者の主張はもっともである。
 本書は現代日本企業の雇用システムを社会全体の中で捉えようとしているが、一企業の人事担当者として自社の雇用システムの再構築を試みようとしている方にとっても興味深い視座を提供している。ただ、そのような、社会的環境が整備される中で一企業の雇用システムをどのようにするかという問題はあくまで当該企業の問題であり、あくまでアートとしての経営問題に帰すべき問題であるため、本書の思考の枠の外にあるので、その点については注意されたい。
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2011年3月12日
 日本の労務管理の特徴や問題点を知りたい方にはお勧めできます。海外の事例との比較もされています。ただし、内容が難しい部分もあるのですべてを理解しようとして読み始めると、途中で挫折するかもしれません。
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2010年12月14日
今後の社会制度を提言する課題を与えられ、その参考に読みました。
雇用制度の様々な問題が整理されています。
戦前の制度まで遡っているので、現行制度の問題点がわかりやすい。
今度の労働制度のあるべき姿を見通したい・再設計した人にとっては、便利な一冊。

一方、現行制度の問題を、新自由主義やマルクス史観でぶったぎる、単細胞向けの本ではないので、犯人探しで溜飲を下げたい人には、物足りなく感じるかもです。

今後もこういう良書に期待します!
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2010年12月12日
労働法の観点から日本の長期停滞とともに見直しを迫られている労働システムについて批判的建設的に考察した新書。
なまの現場の視点ではなく、法律的、制度的な視点から述べられているので机上の空論といった感じがしないでもない。
「名ばかり管理職」や「偽装請負」など、テクニカルタームについての予備知識が十分にないと読みづらい。
内容のレベルから、一般の労働者ではなく、労働法や労働政策の研究者が対象といえる。
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新しい労働社会を構築するための最重要論点が抜けている。それは「利害の対立する社会集団間の利害をどう調整するのか」「誰がコストを負担するのか(本当に負担に同意するのか)」の二点である。著者の経歴を拝見すると案の定、民間での経験がない。雇用問題は基本的に集団間での利害調整という政治によって大枠が決定することをご存じないようだ。

また、現実的に雇用のあり方を決定するのは労働者自身のスタンスの影響も大きい。OECDの労働コスト調査によれば、日本の労働者の純所得(手取り)の比率は約7割と高く、欧州諸国よりも高水準である。ドイツやスウェーデンより10%以上高く、日本の労働者は所得税や社会保険料負担が少ない分を自分の財布にしまっているのだ(しかも間接税も欧州より低い)。日本の社会的弱者に社会保障給付が少ないのは当たり前ではないか!

日本の場合、連合の非正規雇用労働者への支援がほぼ口先だけであるところからも分かるように、労働者は一枚板ではない。著者は、雇用のセーフティネット強化は社会保険料引き上げ、もしくは税負担増加によってしか成立し得ないことを明言すべきだ。ついでに言えば、欧州より日本の法人税の方が高率であることも書いていないのは問題だろう。

ステークホルダー民主主義があたかも理想であるかのように書かれているが、欧州政治を冷静に見ている者は、成長率の低さや高失業率、度重なる社会保障制度改革など、問題がそう簡単でないことを知っている。当書では新しい成長分野へ労働者を移動させるためにどういった雇用政策が必要なのか、北欧と大陸国の雇用制度の違いはどこにあるのかについても言及がない。残念である。
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