○全体を通じて、教訓を得るとすれば、次のとおりか。 ①「防御は攻撃よりも強力である」(クラウゼヴィッツ)を忘れてはならない。客観的には優勢なペルシア軍も、ギリシャに攻め込んでは攻め落とすことはできなかった。侵攻することによって自身の力を弱めた。 ② 戦いにあたっては何が目的で、そのためにはどうすれば良いのかを、邪念を交えずに考えるべきだ。ペルシアはその実力のとおりに戦いを進めれば勝てたはずだ。たとえば、クセルクセスはサラミスの海戦をあえて戦わず圧倒的に優勢な陸上のみで戦えば、ギリシャを制圧できたかもしれない。また、マルドニオスはアテナイまで軍を進めずに手前に駐留して威圧と金銭とでギリシャ諸都市をひとつずつ籠絡してアテナイとスパルタを孤立させる途もあったはずだ。派手な見かけの成果を求めて無理をしたことが失敗につながった。 ③ 他人をあてにしてはならない。ペルシア軍のなかで本当に真剣に戦ったのはペルシア人であった。またギリシャの中で腰を据えて戦ったのはアテナイとスパルタであった。その他の民族は、サラミス海戦でも、プラタイアでも脱落逃亡した。 ④ 筋の通った演説は力を持つ。大切な判断のしどころで、重要な演説や説得が行われている。古来から称賛される人は、周囲に流されない独自の判断をしていて、それを簡明に表明する表現力があり、さらにその信念にしたがって行動する潔さを備えているようだ。