カスタマーレビュー

ベスト1000レビュアー
2020年10月11日に日本でレビュー済み
呪術廻戦のノベライズ。交流会直前(4巻)あたりまでの時系列で書かれた5本の短編が収録。日常ものから事件間の空白を埋めるようなドラマまでいろいろ描かれている。会話劇主体でさらっとした文章ながら、キャラの特徴をしっかり掴んでいて上手いなと。5話の海里と虎杖の会話、
「いえ、この近くなんですけど……言っても笑わないって、約束してもらえますか?」
「笑わねぇよ。オマエ笑ってないもん」
この虎杖の返しはまさにその光景が浮かぶ台詞になっていて唸った。

五条先生が虎杖にかけた言葉もよかった。
「この世界で、悲劇が悲劇のままで終わってしまうことはあまりにも多い。本当なら助けられたはずのことであってもね。でも本当に怖いのは、力が及ばないことでも、駆けつけるのが遅すぎることでもない」
「自分に助ける力があることを、忘れてしまうことだよ」
いつも好きなことばかりやってる先生だけど、締めるところは締めるところがカッコいいよね。虎杖を七海に預けることになった経緯も読めてよかった。バーでの大人同士の会話に読んでいて酔いが回る。

伊地知さんの仕事の話も面白かった。戦えない呪術師の戦い方。こういう裏方主体の話は本編ではなかなか描かれないところだと思うので読めてよかった。送り出した救出任務で虎杖たちを危機に追いやってしまった伊地知。その悔やむ思いを虎杖に話せたこと。こういう描写たちを読んで本編を読むとより一層楽しめる。

そして、真人と目が見えないホームレスの話がなかなか意外な面白さ!人と呪霊の歪だけど穏やかな時間。執着なく生きる老人との会話で人を考察していく真人。人から生まれた呪霊であれど、人とは違う感情の機微が丁寧に描かれていた。
「この世界の人間が、全てアンタみたいだったら─俺は生まれてなかっただろうね」
この一言が味わい深い。こういう落ち着いた真人の一面を読めたのもよかった。
違反を報告 常設リンク

商品の詳細

5つ星のうち4.8
星5つ中の4.8
438 件のグローバル評価