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2021年5月20日に日本でレビュー済み
「ファルコン&ウィンターソルジャー」というドラマが好評のようですが、残念ながら見たことがありません。それはそれとして、アメコミは晦渋なものや、一冊で終わらないもの、あまりアクションを重視していないものも多いです。しかし、本作はコンパクトにまとまったアクション重視の娯楽作で、それこそ映画を気楽に見ているような面白さがあります。おそらくドラマの便乗で邦訳したものと思われますが、おかげで重量級の名作にはない楽しさを持った翻訳コミックを得ることができました。
実際のところ、こういうタイプのコミックも多いんでしょ?あんまり訳されないけど……。歴史的傑作ではないのかもしれませんが、むしろ歓迎します。
アートはフェデリコ・ヴィチェンティーニ。飄々とした雰囲気の画風で、カッコいいです。そして、作品そのものも、軽妙な会話をはじめとして、シュールでとぼけたユーモアに全編が彩られていて、(決してコメディではありませんが)愉快な内容であり、この飄々とした画風が合っています。マーベルとDCを区別するのは乱暴で、互いに例外はいくらでもあるわけですが、何となく、こういうアートと作風って、いかにもマーベルっぽいと思ってしまいますね。ライターはデレク・ランディで武術家でもあるというのですが、バトルシーンが多いのは、そのためでしょうか。列車内での戦いでは7ページにわたって殴り合いつづけていますし、ヒドラの基地での戦いではサムとバッキーが一つのシールドを投げ合って敵を倒すという見事なコンビプレイも見せます。落下しながらの空中戦も華麗。
内容としては、バッキーが敵に襲撃を受けるところから始まります。これはOFUという組織に関する事件らしいのですが、それを別途捜査していたサムがバッキーと遭遇します。一時的にキャプテン・アメリカを名乗っていた二人同士がコンビを組むことになるのですが、そこに謎の少年天才戦士ナチュラルが登場。ヒドラ内の政争に端を発する戦いに巻き込まれていくことになります。
バッキーは政府の手下として殺人も辞さない半分ダークヒーローみたいなことをやっています。冒頭部分では正統派ヒーローであるサムとの対比も興味深いですが、中盤以降は名コンビとなっていきます。
敵(?)となるナチュラルは、とある理由(呆然としてしまうような理由)によりキャプテン・アメリカのファンでもある、サイコパスっぽい少年。狂気的で怖くもありますが、どことなくピントのズレた笑いもあります。とある理由の方も、半分ギャグなんですが、行き過ぎていて半分怖い。
本作ではサイコパス気味のナチュラルだけでなく、サムもバッキーも、悪の親玉の一人であるバロン・ジモも、ラスボスとなるジモの政争相手も、みんな、どこか軽く、あっけらかんとしています。そういう点で、ドライとも言えますが、肩の力の抜けた、楽しい作品とも言えるのではないでしょうか。
「配属先を選べるぞ!」「私はハワイだな!君は?」「デラウェア州」「なんでだよ」には吹きました。
ともあれ、キャップの名をスティーブに返したあとのサムとバッキーの活躍が見られるということで、興味深い作品です。

見たことないので完全な想像ですが、評判を聞いて、たぶんドラマは良くも悪くもしっかりした作りのものなんじゃないかと思っています。だとすれば、本書はグンと軽量級の作品と言えますが、ライトなものにはライトなものの楽しさがあります。暗い展開や、マーベルがやりがちなギスギスした展開もなく、それほどMCUとキャラも乖離していないので、映像版のファンが気軽に手に取って読める一冊と言えるのではないでしょうか。
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商品の詳細

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