カスタマーレビュー

2012年1月26日に日本でレビュー済み
11巻になりました。トルフィンとエイナルはいよいよ自由身分を手に入れるというところまでやってきました。奴隷になって3〜4年、良き友を得たトルフィンは、これまでなかった明るい笑顔を見せながらも、「世の中から戦争と奴隷をなくすためにはどうしたらいいか」と本気で考え始めます。一方のクヌートは、トルフィンとまったく逆のアプローチで「地上の楽土」を目指します。真に平和で苦しむ者のない地上の楽土を作り出す為、多少の犠牲や強権的な行動をも厭わないクヌート。そのクヌートが、楽土を建設する手段としての財産を手に入れるため、ついにトルフィンの暮らすケティル農場の接収を決定。これに気付いたケティル一族は、レイフ・エリクソンの手助けを得て脱出に成功します。

まず、絵が徹底的に緻密で、かつ躍動的。これほどまでのクオリティで描き込まれた漫画は他に見あたりません。正確かつ丁寧な歴史考証の上にフィクションを織り交ぜて構成された登場人物たちは、圧倒的な存在感を放っています。残虐シーンが多いのは事実ですが青年漫画として許容範囲でしょうし、バイキングの歴史上戦いは避けて通れない部分です。

何より、1巻から通して丁寧に張られたいくつもの伏線が、「なるほど!」と思わず手を打ってしまうくらいの説得力ですべて回収されてゆくことに驚きと感動を覚えます。構想が壮大であればあるほど、作者が伏線を忘れたり、ご都合主義で回収しなかったり適当な言い訳を作ったりということが頻繁にありますが、今作に関してはそれは皆無と言って良いでしょう。

奴隷編に入ってからややテンポが鈍くなり、トルフィンの活躍もなく、肝心のヴィンランドに関する話題もなく、いまひとつ乗り切れませんでしたが、11巻になって俄然興奮を覚えました。絵も、歴史考証も、人物造形も、プロット構成も実に緻密かつ躍動的。幸村誠、すごすぎます。

次巻では、トルフィンとクヌートがいよいよ再開するのでしょうか。クヌートのやり方と、トルフィンの考える「真の戦士」は、果たして合致するところがあるのでしょうか。次巻以降が楽しみで仕方ありません。

今、最高の漫画です。ぜひご一読をお奨めします。
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商品の詳細

5つ星のうち4.8
星5つ中の4.8
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