カスタマーレビュー

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2021年4月25日に日本でレビュー済み
当初からの謎として、掟上今日子は羽川翼なのかという問が心のなかにある。作品としては物語シリーズと掟上今日子シリーズは独立しているが、これまで何度も両者の関連をほのめかす記述があった。一方で混物語では阿良々木暦が掟上今日子と羽川翼が一致していないような挙動を見せる。否定ではないが見ただけでスリーサイズまで見抜く阿良々木暦が認識できていないのもおかしい。ただ、あの作品はそもそも時系列がごちゃまぜでシリーズの垣根だけでなく、時間軸まで混ぜてあった。未来の姿を過去の視点で見過ごすことはあるだろう。
この前フリは本作が掟上今日子の過去をテーマにしているからだ。一日しか記憶が維持できないヒロインはなぜそうなったのか。それがある程度、明かされる。それは新たな登場人物の追加という形でなされる。その意味で推理小説とは言いにくい要素がある。特に掟上ビルの寝室の天井に「お前は掟上今日子、25歳、探偵…」というメモというには大胆すぎる代物を書いた人物が登場する。
さて、ここで読み返したいのは結物語だ。阿良々木暦が23歳の時のことで彼が結婚する話だ。同時に羽川翼との決定的な人生の分岐点が描かれている。掟上今日子が25歳なのかはすでに誤りで天井のメモが書かれた時、彼女は25歳だった。掟上今日子と羽川翼が同一人物なら二人の間の隙間はかなりうまる。同時に本作での掟上今日子は何年かたったアラサーということになろう。
実際のところ両者は別人かもしれない。それで良いとも思う。ただ、地続きの世界のどこかで掟上今日子を案じる阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎが影でいろいろと支えていると想像したら、その時間軸から取り残されたような孤独が少しは救われるような気がする。最終的に彼女を支えるのが日々、冤罪にまみれ彼女を必要とする隠館厄介氏であれば、需要と供給という点ではベストだろう。別の作品世界で彼女を見守る二人の親友も胸をなでおろすかもしれない。
推理小説としては疑問が残るかもしれないが、西尾ワールドとしては納得がいく。
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5つ星のうち4.4
星5つ中の4.4
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