カスタマーレビュー

2012年1月24日に日本でレビュー済み
まず、クヌートの顔が、話が進むごとに狂相、狂気に満ちてくるのが凄い。表に見せる顔は理想的な君主で、その裏側で、理想、王道楽土、地上の楽園の実現、崇高な目的のためには手段を選ばない。曹操か信長かナポレンかって覇王っぽさが、かっこいいことはかっこいいのだが・・・特技が毒殺だけというのは、策謀家としてはややゲス。策略としても人格的深みとしても、もうひとひねり、一皮むけてほしい。ただ、その彼の眼を覚まさせるのが、多分、次刊あたりでの、「人間性を取り戻して、成長したトルフィン」との再会と対決なんだろうな。しかし、作者があとがきで書いてるが、この物語は、「父と子の関係、受け継がれるもの」なんだろうな。トルフィンは、父親トールズの死からずっと、父の霊(自分の心の中の父親の姿)と会話を続け、ついにこの前巻で、父親、そして敵アシェラッドとの対峙で、「真の戦士の心」に目覚める。それに対して、クヌートは、自分が憎み殺したいと願った父親を、殺して初めて分かり合えた、唯一腹を割って話せるようになったと、独白する。彼にしか見えない父王の生首、それはクヌートの良心の声なのか悪魔の囁きなのか。だから、これからのトルフィンとクヌートの対決は、それぞれが父親から受け継いで、自分の物とした理想、価値観の衝突になるのだろう。8巻のアシェラッドの死が、この作品のハイライトの一つで、その後の奴隷編で、テンションが落ちたと思っている人も多かろうが(僕は好きだ)、次は多分凄いよ。
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5つ星のうち4.8
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