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2020年3月4日に日本でレビュー済み
原作未読者および既読者だがよく分からなかった方のために。
本作は西尾維新『戯言シリーズ』の登場人物、零崎人識、ならびに
彼が所属する組織『零崎一賊』に焦点を当てたスピンオフ小説のコミカライズである。

『零崎』は人間の中から偶発的に生まれる、人を殺さなければならない性を持った殺人鬼。
そうして、普通の生活を失った殺人鬼たちが家族として集まったものが『零崎一賊』である。
殺人鬼は人を殺す鬼であるが、鬼を殺す鬼ではない。故に共生できる。
家族が被害を被ったならば、敵は一族郎党老若男女の区別なく皆殺し。
『零崎一賊』の恐怖を知らしめることで一族の安全を守っている集団である。

零崎双識は人間だったころを知らず知人もいない、生まれながらの殺人鬼である。
『人間だった頃』が存在しない為か殺人鬼としての強さよりも『普通』の営みを、家族を最優先する。
ナイフを二つ鍛接し平和的な文房具にデチューンした大鋏『自殺志願』は彼の在り方を重ねた分身である。
本作、および原作はそんな彼と一族の戦いを描いた作品である。

漫画についての評価は素直に原作小説を読んだ方がいいという印象。一長一短。微妙である。
序盤殺人鬼になりかけの無桐伊織に焦点を当てた改変など面白い部分はあるのだが、
原作のコメディ要素や『戯言シリーズ』とのクロスオーバー(これは仕方ない)が削られ、
最終的に何か言うたび決めゴマが使われるような単なるオサレ漫画になってしまっている。
戦闘描写も線の細い絵にごちゃごちゃした構図が合わさりよく分からない。
原作小説からエピソードが抜かれ、漫画だからこそできる表現というものが無いので
ファンアイテム以上の意味はないと言わざるを得ない。

最も残念なのは本作見せ場の一つである『あるエピソード』が省かれている点である。
既読読者は想像できるだろう。この作品が死ぬのは、漫画家が『悪かった』のではなく、
出版社が、版権が、そもそもこの企画自体が『悪かった』のだ。

以上の理由から、総合的には小説版を読むべきという感想である。
ついでに『戯言シリーズ』に手をだしてもいい。
そして漫画版『零崎軋識の人間ノック』は文句の出ない出来である。
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