カスタマーレビュー

2018年2月11日に日本でレビュー済み
約13年半ぶり2冊目の電撃文庫作品という、筆を置いたと思われてもおかしくないブランクののち、
突如として発売されたという事実に驚き、思わず手に取ってみることに。

三年前の魔王との戦いにより命を落とすも、死霊術により骸骨のまま生き存えることとなった主人公。
勇者業を半ば引退し、墓場で他のアンデッドたちと気ままに暮らしていたが、かつての仲間で
今は魔導宰相に出世したフブルより、同じくかつての仲間で瀕死の自分に死霊術を施したイザナが
行方不明となったので彼女を探せという命を受け、しかも預金を凍結されたため渋々彼女の探索を
兼ね冒険の旅に出るが……という連作短編。

フィクションにおける受け手に対する最初の壁は、作品世界や設定がどんなに支離滅裂で
突拍子もなく、現代社会と乖離していたとしても、読者をそれとなく『そういうものなのか』と
納得させる作業であるため、冒頭部分の立ち読みで終わらせるのではなく、話に引き込みたいという
焦りゆえにどうしても世界観の説明をしたくなる衝動に駆られる作者の気持ちも分かるが、
そこはもう少しぐっと堪えて読者を信頼し、最初はよく分からないけれど、文章の前後や行間を
読むことにより何となく作品世界を理解させていくという方向に展開したほうが自然に
話を進行させることができたのではなかろうか。
かつてなかなかの手練れの勇者でで、現在は飄々としたキャラクターを演じる骸骨という設定や
アイディアは素晴らしいだけに少々残念である。

また、勇者という過去を隠して再び冒険に出る理由と動機付けが弱い印象を受ける。
そこはもう少し心を鬼にしてアルを追い詰めても良かったのではなかろうか。それとも今の読者は
ちょっとネガティヴな展開を匂わすだけでじんましんが出るほどヤワくなってしまったのだろうか。
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商品の詳細

5つ星のうち4.4
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