カスタマーレビュー

2019年8月21日に日本でレビュー済み
BLなのに超絶本格社交ダンス漫画、という印象だったのが、
超絶本格社交ダンスを描く、恋愛の本質を問う作品、というものに変化した。

BLは普通「男の俺が男を好きになるなんて(葛藤)~けどこの気持ちは止められない(ハッピーエンド)」のコースをたどる。
余りにも好きすぎて性別の壁諸々は越えてしまえる。

だがこの漫画は、どんなに恋愛感情をお互いに持っていても越えられない壁があり、それは男同士だと男女間より強固に現れやすい、ということを表現している。

BL的に書けば、攻め×攻めは、そんなに簡単に割りきれるもんじゃない、ということ。

しかしこれは、男女間でも存在する問題だ。ただ、女性に課せられる文化的イメージや妊娠出産によって、

攻め気質男性×攻め気質女性

の恋愛は、

攻め気質男性×受け身になった女性

に落ち着く事によって解決しやすいだけなのだろう。

ウエディングドレスを着ればおしとやかに歩きたくなるし、「妻」の称号を得たならば「良妻」を目指したくなる。妊娠出産すれば、自己実現の欲よりも子育てを優先したくなる。そうして人間のメスは受け身の女性になる。

ここで言う受け身というのは、#27~28のやり取りからして、相手のために自分の主義主張を捨てる事を喜んで受け入れらる、といったニュアンスだろう。

この「受け身」になることが「好き」で簡単にできる人もいれば、耐え難い苦痛を感じる人もいる。杉木信也は後者であり、それは完全自己否定を意味するようなものだったのだろう。

女性でもそういう人は一定数確実にいる。だけど文化的制約や、生物学的な特徴によって曖昧にされてきただけだ。結婚や出産ができるのに尻込みする心性にはこうした側面があるのではないか。

もちろん、

受け身な男性×攻め気質の女性

というパターンも有るだろうが、生物学的な特徴によってその状態を堅持できるカップルは少ないだろう。

その事を踏まえると、漫画内で述べられている「恋」は特定の相手に欲情すること、「恋愛」は相手に応じて自分を変える覚悟を持つこと、と読み解ける。

普遍的な恋愛感情の問題点を突いてくるテーマで、深いなぁ......と思った。

ならば鈴木が受けになれば良いじゃないか、という展開になるのか、どうなのか。

こういう描き方をするなら、いっそくっつかなくてイイ!、気もするが、どうなのか。

恋愛とかそういう次元の関係でなくなる気もする。

安易な「結局くっつくんでしょ」という予想をさせない展開で、次巻がとても楽しみ。
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