カスタマーレビュー

2011年12月24日に日本でレビュー済み
多少ネタバレも含みますが、まず突っ込みを。

平和委員会に隠れてこっそり木星へ向かう船内の科学者の議論「5万年前まで月は無かった」のくだり、「もしも月がなかったら〜」のシミュレーションが続きますが、1点疑問が。はい、原初の地球の自転が8時間で、それが月のブレーキで24時間にまで遅くなったというのが現在の定説ですが、5万年前まで月が無かったとすると、何故月を得る以前の自転が8時間と想定するのでしょうか。その辺りの説明が無くて悶々とする次第。あるいはそれも伏線か。

もう一点。遺跡宇宙船を発掘して見つけた謎のモジュールが重力波通信に関わるものだというお話ですが、何故電波ではなくて重力波を使うのかというと電波は光速に制約されるからだ、という説明でして、おいおい重力波も光速ですよ?と思わず紙面に突っ込みを入れた次第。大丈夫だろうか....これも伏線....にはなりそうもないけど。

まぁ、それはそれとして(笑)。狂風世界における生物の進化、ティラノサウルスさんの生活史はじつはこうだった、翔べる筈のない翼竜が翔べたのは何故か、を始めとする仮説の数々、苦難に満ちた人類の生活云々の描写、なかなか興味深かったです。人類は一時期数百人ないし数千人にまでその数を減らしていたという最近の研究も反映させていますし、その文明を発展させたのは丁度その5万年前だというのも妙な説得力がある(笑)。仮説も絵になるとなかなか見応えが御座います。序に、人類はここまで知ってるぞと突きつけた時の平和委員会の面々の顔色喪失の驚愕の表情が、これまた絵になると実に愉快。

遺跡宇宙船の探索においては、愈々ミネルバの生物の様相が明らかになるとともに、これまで生物学者が望んでも化石でしか見られなかった古代の地球生物の、遺骸ではありますが実物を目の当たりにできる。涙ちょちょぎれものでは御座いますが、さて、何故アウストラロピテクスさんだけが廊下に転がっていたのか、これも伏線か。ところで、ディアトリマさんが100万年前に居たとはちと考え難いぞ、とこれも紙面に突っ込み(笑)。ワンカットだけ挿入されたミネルバ原産生物のぬいぐるみは、原作における壁にかけられた奇妙な動物の絵のエピソードを写したものかと思いますとちとニヤリと。

そうして100万年の過去から突如浮上してきた生きて動いているガニメアンさんとの邂逅、ぉぉ、巨人はこんな姿恰好をしていたのか。原作で描写された鉢の開いた頭云々、実際に絵にしていただくと感慨深いものがあります。円らな瞳の子供が、人類の成人と同じ背丈というのも、ぁぁ、やっぱり巨人なのだなぁと感じ入る次第。序にシャピアロン号もこんなだったのか....氏の描くブラックホール推進宇宙船にどことなーく似ている気がするのは、まぁ、おいといて。スクリーンに描かれる100万年前のミネルバにリンさんが驚きの視線を注ぎますが私もそう(笑)。そしてミネルバに残された人類が巨人の遺跡に迷い込む様もさもありなん。そうして愈々両者の知識を持ちより知恵を合わせて一体太陽系に何が起きたか、愈々解明にかかる端緒でこの巻は御終い、次が待ちきれません。

ところで原作では2500万年前というスケールだったのが、漫画では100万年に変えられていますが、さて、これは何故なんでしょうかね。ここにもなんらかの意図なり伏線なりがあるのでしょうか。或いはミネルバに連れて行かれた地球生物から生まれた人類が地球人類と寸分変わりないという説明をするためには別離の期間が短い方が都合が良いのですが、それだけなんでしょうか。ここにも何かどんでん返しがあるのでしょうか。

まぁ、原作を知っていると色々と違和感というか戸惑う部分も御座いますが、そこはそれ、割り切って読むのも宜しいでしょう。或いは自分の科学知識を総動員してそこは違うだろと突っ込みつつ読むのもまた愉しからずや。BIG AMERICA 3個を我慢しても観る事をお勧めする次第。
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