カスタマーレビュー

2019年9月21日に日本でレビュー済み
落書きのようなギャグ顔演出を多用するようになってからヤンの人格的幼児性表現が目立つようになってきました。
社会不適合者と言われつつも、養子であるユリアンを迎え入れては保護者としての自覚と責任を持ち、
一生懸命大人ぶってユリアンの成長を見守る人間臭さと彼なりの大人の優しさがヤンの魅力だったはずなのが、
この漫画ではグータラ穀潰し部分が強調されて軍事の才能以外の全てが欠落した本当の能無しに見えるところ、
主役格のヤンの扱いですらこれで、新解釈の銀河英雄伝説?として大丈夫か?というと厳しいものがあります。

初陣から帰ったユリアンがスパルタニアンが撃墜されたことに、
『大事な市民の税金を』という詫びる台詞がありますが、
初陣で亡くなった数万人の戦死者を気にかける言葉よりも、
教習所上がりのペーパードライバーが事故ったかのような軽口をヤンに叩くことによって、
原作に無いキャラ付けで軽薄な人間になっています。
ユリアンは本来なら真面目で思慮深い人物で、
軽口を叩くのは、ポプラン、シェーンコップ、アッテンボローの役回り。
ところがこの漫画では、3人との絡みが極少なく、
以前に涎を垂らしながら最悪な登場を果たしたポプランはいないも同然の扱い、
ゴリラと化したシェーンコップは不良軍人ではない、
ゲバラ気取りの無知性者と化したアッテンボローもユリアンと絡まない。
『悪い大人』がユリアンを毒する要素もなければ、イゼルローンの問題児トリオを窘める堅物ムライの小言もない。
原作小説の登場人物の役回りが、この漫画では崩壊して会話の粋さや可笑しみが抹消されていて、
原作の同盟ファンの持つ不満とは、
コミュニケーションで発生する原作キャラの本来持つ魅力が藤崎解釈で上書きされて、
そのコミュニケーション丸ごとを削除して雲散霧消、
その上で原作にない台詞や個性を用いた新たな魅力の構築に悉く失敗している点にありますね。

他にもフェザーンの高級幹部であるはずのボルテックが見た目がレゲエっぽい乞食顔の不審者。
同盟政府のネグロポンティは上級国民であるはずが、歯がボロボロで顔の下半分が早すぎた巨神兵の如くに溶けてる妖怪顔。
実在のフランス人哲学者のモーリス・メルロー=ポンティをモデルに顔の下半分を面白半分に醜く魔改造してギャグキャラにするセンス。
この漫画家の幼稚でくだらない中傷に似た行為をする人間性がネグロポンティのキャラデザに集約されていますね。
この漫画の独自の方向性の全てが奇異でチャラついた印象を読者に与えて、
原作の持つ魅力を潰した上に再構築したものがそれほど質の高いものではない。
それは悪い意味での幼児性そのものであり、
この漫画が続く限り付きまとい続ける難点であるように見えました。
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商品の詳細

5つ星のうち4.6
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